- 2023/05/17 掲載
金融不安、払拭へ結束=米欧利上げに副作用―広島サミット
先進7カ国(G7)は19日から広島市で開かれる首脳会議(サミット)で、米欧発の金融不安など世界経済が直面するリスクにどう対処するか議論する。ロシアのウクライナ侵攻が招いたインフレを抑え込むために米欧が実施してきた急ピッチの利上げは、債券価格の下落を通じて米中堅銀行が破綻する一因になった。途上国などの債務負担が膨らむ副作用ももたらしており、G7が結束して対応に乗り出せるかが問われる。
G7は今月11~13日に新潟市で開かれた財務相・中央銀行総裁会議の共同声明に、「金融安定へ適切な行動を取る用意がある」と明記した。SNSによる情報拡散やインターネットバンキングを介した急激な預金流出で米中堅銀行が相次いで破綻したことに対しては、金融システムの強化に取り組むと表明。中国の影響力拡大に待ったを掛ける思惑から、低・中所得国の債務再編や経済発展を後押しする姿勢も打ち出した。
一方、米国の連邦政府による借り入れの限度額「債務上限」引き上げを巡る不透明感は、世界経済の新たな脅威になっている。米国が史上初のデフォルト(債務不履行)に陥れば、世界経済への影響は甚大だ。
財務相会議では、中国が大きなシェアを占める車載用電池など脱炭素関連製品のサプライチェーン(供給網)強化に向け、低・中所得国を支援する新たな枠組みを年内に設立する方針も確認した。岸田文雄首相は「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との協力関係を重視。サミットにインドやブラジルなどを招待し、気候変動や食料安全保障などでの連携強化を目指す。
首相は看板政策「新しい資本主義」に関し、人への投資や脱炭素で民間投資を喚起する政府の役割の重要性も訴える。15日の経済財政諮問会議で、「政府が供給サイドに働き掛け、民間投資を喚起する取り組みを重視する考え方は、主要国共通の政策認識となってきている」と述べ、サミットでこうした理念を共有していく考えを示した。
【時事通信社】
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