- 2023/06/03 掲載
NY市場サマリー(2日)ドル高、 株価上昇 国債利回りも上昇
5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が33万9000人増と、市場予想の19万人増を大幅に上回った。一方、失業率は3.7%と7カ月ぶり水準に上昇。時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇、前年同月比4.3%上昇し、ともに前月から伸びが鈍化した。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.435%高の103.980と、1日としては5月中旬以来の大幅な伸びとなる勢い。
しかし週足では、ドルは0.2%下落し、5月上旬以来の大幅な下げを記録した。
アムンディUSの債券・為替戦略ディレクター、パレッシュ・ウパディヤ氏は「米連邦準備理事会(FRB)当局者は最近、6月に利上げを見送り、7月に利上げを検討する可能性を示唆していたが、雇用統計の非農業部門雇用者数の数字を見て後悔した可能性がある」と述べた。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフマーケットストラテジスト、マーク チャンドラー氏は、FOMCを控えたブラックアウト(発言禁止)期間に入ったため、雇用統計に対する当局者の見解やガイダンスを見極めるのは困難と指摘した。
金融市場が織り込む6月会合での利上げ確率は現時点で約29%。週初には70%近くとなっていた。
米上院は1日、債務上限停止法案を63対36の賛成多数で可決。懸念されていたデフォルト(債務不履行)を土壇場で回避されたものの、逃避先としてのドルの投資妙味は薄まる見通し。
ただ、格付け会社フィッチは、デフォルトが回避されたものの、米国の「AAA」格付けに対する「ネガティブウォッチ」を維持すると明らかにした。
ドル/円は今週0.8%上昇し、週間としては5月中旬以来の大幅な上昇率を記録した。
ユーロ/ドルは終盤の取引で0.45%安の1.07135ドル。
豪ドル/米ドルは0.59%高の0.661米ドル。オーストラリアの独立した賃金設定機関フェア・ワーク・コミッション(FWC)が、生活費高騰を受けて7月1日から最低賃金を5.75%引き上げると発表したことを受け、最大0.93%高の0.663米ドルと、5月24日以来の高値を付ける場面もあった。
<債券> 国債利回りが上昇した。5月雇用統計で非農業部門雇用者数の増加幅が予想を上回ったことを受けた。
指標となる10年国債の利回りは8.3ベーシスポイント(bp)上昇し3.691%となった。
米労働省が2日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は33万9000人増と、市場予想の19万人増を大幅に上回った。
ただ、賃金の伸びは鈍化した。米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で利上げを見送る材料となる可能性があるとの見方から、指標発表直後は一時利回りが低下する場面もあった。
B・ライリー・ウェルスのチーフマーケットストラテジスト、アート・ホーガン氏は「これは、労働市場が依然として堅調である一方、急速にではなく緩やかに軟化していることを反映している。FRBは次回の会合で利上げを見送るのに十分な証拠を手にしている」と述べた。
ホーガン氏の見解は、依然として市場の多数派となっている。CMEグループによると、2日午後の時点で、フェデラルファンド(FF)金利先物はFRBが6月13─14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る可能性を70%とみている。1日は80%だった。
債務上限を巡る合意が成立したことで、1カ月物財務省証券は今週、約36bp急低下した。10年債利回りも週間では13bp低下。低下幅は3月中旬以来最大となった。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス81.2bp。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、10年物が2.197%。
インフレ期待指標として注目されるドル建て5年先5年物インフレスワップは2.490%。
<株式> 上昇して取引を終えた。5月の米雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことを受け、連邦準備理事会(FRB)が6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る公算が大きいとの見方が広がったほか、米債務上限停止法案の議会通過を好感した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合は取引時間中に13カ月ぶりの高値を更新。2020年1月以降で最長の6週連続高を記録した。
米労働省が2日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は33万9000人増と、市場予想の19万人増を大幅に上回った。一方、失業率は3.7%と7カ月ぶり高水準を記録。時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇、前年同月比4.3%上昇し、ともに前月から伸びが鈍化した。
これを受け、6月13─14日のFOMCで利上げが停止されるとの見方に拍車がかかったが、予想を大幅に上回る雇用の伸びはFRBがまだインフレを抑制しきれていないことの表れだと指摘する声もある。
フェデレーテッド・ハーミーズのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏は「FRBが何をしているのかについて市場の解釈が完全に間違っているというのがわれわれの見解だ」と指摘。「市場の認識は経済が冷え込み、インフレが崩壊し、FRBが一転して利下げに着手するというものだが、それは間違っている」と述べた。
CMEグループのフェドウオッチツールによると、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、FRBが6月のFOMCで金利を据え置く確率を71.3%としている。前日は79.6%だった。
一方、米上院は1日、債務上限停止法案を63対36の賛成多数で可決した。デフォルト(債務不履行)を土壇場で回避した。
これを受け、投資家の懸念が緩和。投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は1.1ポイント低下の14.6ポイントと、2021年11月以来の低水準を付けた。
週間では、S&P総合500種が1.82%、ダウ工業株30種が2.02%、ナスダック総合が2.04%それぞれ上昇した。
米取引所の合算出来高は110億5000万株。直近20営業日の平均は105億8000万株。
通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ、AT&T、TモバイルUSが下落。米インターネット通販大手のアマゾン・ドット・コムが米国での低価格の携帯電話サービス提供に向けて交渉を進めているとの報道を受けた。
ベライゾンは3.2%、AT&Tは3.8%、Tモバイルは5.6%それぞれ下落した。一方、アマゾンは1.2%上昇した。
S&P500の11セクター全てが上昇。素材が3.4%上昇、一般消費財が2.2%上昇した。
エヌビディアは1.1%安と続落した。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を4.75対1の比率で上回った。ナスダックでは2.73対1の比率で値上がり銘柄が多かった。
<金先物> 米長期金利の上昇を眺めて反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比25.90ドル(1.30%)安の1オンス=1969.60ドル。
<米原油先物> エネルギー需要の改善見通しを背景に続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.64ドル高の1バレル=71.74ドル。週間では1.28%下落した。8月物は1.67ドル高の71.84ドルだった。
ドル/円 NY終値 139.94/139.97
始値 138.89
高値 140.07
安値 138.75
ユーロ/ドル NY終値 1.0706/1.0710
始値 1.0766
高値 1.077
安値 1.0706
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時00分 95*11.50 3.8886%
前営業日終値 96*09.50 3.8340%
10年債(指標銘柄) 17時00分 97*10.50 3.6984%
前営業日終値 98*02.00 3.6080%
5年債(指標銘柄) 17時01分 98*31.50 3.8507%
前営業日終値 99*21.00 3.7010%
2年債(指標銘柄) 17時00分 99*16.50 4.5073%
前営業日終値 99*26.50 4.3410%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33762.76 +701.19 +2.12
前営業日終値 33061.57
ナスダック総合 13240.77 +139.78 +1.07
前営業日終値 13100.98
S&P総合500種 4282.37 +61.35 +1.45
前営業日終値 4221.02
COMEX金 8月限 1969.6 ‐25.9
前営業日終値 1995.5
COMEX銀 7月限 2374.7 ‐24.0
前営業日終値 2398.7
北海ブレント 8月限 76.13 +1.85
前営業日終値 74.28
米WTI先物 7月限 71.74 +1.64
前営業日終値 70.10
CRB商品指数 259.6874 +2.3211
前営業日終値 257.3663
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