- 2023/07/07 掲載
アングル:人民銀実質トップへの潘氏起用、金融リスク警戒反映か
2人の関係者はロイターに、2012年から副総裁を務める潘氏は人民銀行の易綱総裁退任に伴ってその後を継ぐだろうとの見通しを示した。
金融政策のかじ取りを担うことになる潘氏は、「危ない橋は渡らない」中銀当局者との評判が専らで、人民銀行が実施してきた慎重な姿勢で景気を支える路線を修正しそうにはないとみられる。
中国は今、約9兆ドルにも達する地方政府の借金や、国内総生産(GDP)のおよそ25%を占める不動産セクターの低迷といった金融安定を脅かす深刻なリスクが顕現化するのを何としても回避しなければならない。
しかし政策討議にかかわる関係者の1人は「潘氏は経済の不確実性に対処するために重大な政策を実行できる。特に不動産セクターが減速する中で、彼の専門能力は金融のシステミックリスクの根本部分を守り、大きな危機を回避する上で役に立つ」と主張した。
潘氏は2016年、中国の外国為替規制当局トップも務め、世界最大規模の約3兆2000億ドルに上る外貨準備運用の監督を経験。外為市場の投機筋に厳しい姿勢で臨むことで知られ、国有銀行改革や、不動産市場の引き締め、フィンテック規制、暗号資産(仮想通貨)取引禁止などにも関与している。
今年5月下旬に行った講演では、金融リスクを防ぎ、解決することこそ当局者として永遠のテーマだとの見解を長々と披露し、かつてないほど複雑で変化する外部環境にあって各当局が連携を強化するべきだと訴えた。
潘氏が人民銀を基本的にどう運営していくのかはまだはっきりしない。ただ金融政策を活用できる余地がそれほど大きくないとしても景気を支え続ける一方、マクロプルーデンスに関する規則の運用を通じてリスク抑制を図る、というのが人民銀ウオッチャーの予想だ。
中央財経大学の有力エコノミスト、郭田勇氏は「われわれが国内外で重圧に直面する中で、潘氏の(党委員会書記)任命は政策の継続性や安定性を維持することに寄与するだろう」と解説した。
人民銀の党委員会書記が郭樹清氏から潘氏に交代するという発表のタイミング自体は予想外だった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として、この人事は総裁交代に向けた布石だと伝えている。
易綱氏の前任だった周小川氏は総裁と党委員会書記を兼務していた。
周小川氏と易綱氏はいずれも、総裁として市場寄りの改革を打ち出してきたが、人民銀行の上位に監督機関が設置されたため、政策遂行の部分では今後制約が課せられる見込み。その分、潘氏は金融リスク対策に集中できる、と複数の専門家は話した。
<小幅緩和継続か>
現在の中国経済は、推進力を得るのに苦戦している。GDPの3倍という債務総額を抱え、外需低迷で輸出は伸びず、消費主導型への構造転換も進んでいないからだ。
そうした中で潘氏は、各種リスクに配慮しつつ緩やかな緩和措置を通じて景気を支えていく公算が大きい。
2人目のインサイダーは「われわれはいかにして経済に刺激を与えられるか考える必要がある。しかしまずは、リスクを確実に制御するべきだ」と語った。
人民銀は6月、わずか10ベーシスポイント(bp)ながらも過去10カ月間で初めて政策金利の引き下げを決定した。ただし資金需要はなお低調なことから、今後数カ月で追加緩和が行われるとしても規模は小幅にとどまるだろう。
中国政治学会の経済政策委員会副ディレクター、シュー・ホンカイ氏は「金融緩和余地は限られ、その効果も多くの制約を受ける」と述べた。
(Kevin Yao記者)
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