- 2023/08/19 掲載
中途退職者の交流、活性化=「裏切り」は過去、出戻りも―銀行界
銀行業界で、中途退職者との交流を促す動きが活性化してきた。外部からの直接的な評価を社内に反映できるほか、協業のきっかけやその後の出戻り採用につながる例もあり、会社側にもメリットが大きい。保守的なイメージのある同業界も、かつての「辞めたら裏切り者」といったイメージが薄れつつある。
7月上旬の夜、三菱UFJ信託銀行の元社員が集まる会社主催の交流会が東京都内で開かれ、約40人が参加した。現在の職務内容や在籍時の思い出話に花を咲かせ、「優秀な人材が多かった」などと古巣への評価を共有。一方で「社内政治の話が多かった」「物事が決まるのに時間がかかった」といった指摘も出た。
同行によると、退職者の中にはIT業界に転じる者も少なくない。銀行に対しデジタルトランスフォーメーション(DX)推進などが迫られる中、こういった交流を通じて協業の可能性を探ったり、最新の情報に触れたりするといった銀行側の狙いも垣間見える。
みずほフィナンシャルグループ(FG)は2020年に退職者の交流サイトを立ち上げ、今年7月現在で登録者は1000人を超えた。これまではコロナ禍の影響もありオンラインでの交流が主体だったが、9月には初めて現役社員も交えた対面でのイベントを開催する。三井住友銀行も4月に専用サイトを導入し、退職者との情報交換の場として活用している。
交流の活性化には、現役社員の退職を誘発するリスクも潜む。ただ、会社側は「現在のところメリットの方が大きい」(みずほFG)とみている。交流をきっかけにカムバック(出戻り)採用につながった例もある。入行年次や帰属意識のイメージが強い銀行業界でも、退職者との垣根が低くなりつつあるようだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕三菱UFJ信託銀行の中途退職者が集まった交流会=7月5日、東京都内
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