• 2023/11/05 掲載

アングル:女性向けサッカーグッズ市場に熱気、アディダスやプーマも動く

ロイター

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Helen Reid

[ロンドン 1日 ロイター] - アディダスやプーマのようなスポーツウェア・ブランドが、ファッション業界のサッカー熱に便乗して新たな顧客層を獲得しようとしている。今夏開催されたサッカーの女子ワールドカップ(W杯)の成功によって生まれた需要も追い風だ。

米タレントのキム・カーダシアンさんなどのセレブがサッカージャージを着て試合会場に現れるといった光景が見られるようになった今、サッカークラブも新たな物販のチャンスに目を光らせている。

英プレミアリーグのあるチームは、アパレル商品を拡大するためにクリエイティブディレクターを雇い、アディダスは今年9月、スポンサーを務める有名チームのために「ピッチ外専用」のアパレル・コレクションを発表した。

コンサルタント会社BDS・スポンサーシップのリチャード・バスビー最高経営責任者(CEO)は「サッカーとファッションの接近は、まだ始まったばかりだ」と語る。

女子W杯は、女性向けのサッカー関連グッズに大きな未開拓需要があることを示した。ナイキは、イングランド代表のメアリー・アープス選手ほか、大会に出場したゴールキーパーのレプリカを提供しなかったことで、ファンから反発を買った。

この傾向は男女を問わずファッションに敏感なファン全体に及んでいる、とバスビー氏は言う。「プレミアリーグのクラブは裕福なサポーターを多く抱えているが、男性であれ女性であれ、販売されているグッズの中に、彼らを引きつけるものはほとんどない」と述べた。

ギリシャ2部リーグのアテネ・カリテアも、ジャージに新風を吹き込んでいるクラブの一つだ。キャンペーンでは、ユニセックスのトップスにサテンのスカートを合わせたスタイルを、女性が外食に出かける時のスマートなカジュアルウェアとして宣伝している。

これら商品のデザインは、クラブの従来のファン層以外も意識したものだ。

カーダシアンさんは、ASローマとパリ・サンジェルマンのビンテージ物のシャツを着ているところを目撃されている。20歳のモデル、ミア・レーガンさんは10月のパリ・ファッション・ウィークに、アーセナルのシャツにデニムのロングスカートとブーツといったコーディネートで登場した。

プレミアリーグのクリスタル・パレスは8月、スポーツ関連のマーケティング・マネジメント会社の創設者、ケニー・アナン・ジョナサン氏をアパレルのクリエイティブディレクターに起用して注目を浴びた。

<フットボールカルチャー熱>

ドイツのアディダスとプーマは長年にわたり、ストリートウェアやポップカルチャーと結びついてきた。

グローバルデータによると、両社はそれぞれ年間スポンサーシップ支出の3分の2をサッカーに費やしている。バスケットボールや大学スポーツにも積極投資しているナイキの場合でも、サッカーは年間スポンサーシップ支出の48%を占めている。

プーマのグローバル・クリエイティブディレクターのハイコ・デセンス氏は「ストリートウェアからファッション業界に至るまで、サッカージャージやサッカーカルチャーの影響を受けたデザイン全般が盛り上がっている」と語った。

プーマは、その熱狂にさらに拍車をかけようとしている。同社が9月に発表した、シンガーソングライターのリアーナさんのブランド、フェンティとのフットウェアコラボは、ブラジルの伝説的サッカー選手、故ペレが履いていた靴にインスパイアされている。

発売キャンペーンでは、解体された巨大なサッカーボールの中にリアーナさんが登場。靴の価格はシルバーが170ドル、ブラック・アンド・ホワイトが160ドルで、プーマのウェブサイトでは発売日に完売した。

ベレンバーグのアナリスト、グレアム・レンウィック氏は「プーマはアディダスやナイキよりも女性向けの売り上げが大きく、2015年に初めてリアーナさんとコラボした際には、女性消費者の間で需要喚起と信頼醸成に大きな効果を発揮した」と説明する。「だからコラボ再開でプーマは、同様の反響を期待しているのだろう」と指摘した。

9月に発売されたアーセナル、バイエルン・ミュンヘン、ユベントス、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリードのアディダス商品には、ジャージニットで作られた女性用トップスやドレスがあり、クラブ名がさりげなくあしらわれている。

「積極的にサッカーをプレーする消費者と、サッカー文化に魅了された消費者の両方のニーズに応えたい」(アディダス)という。

高級ブランドも参入しつつある。5月にはイタリアのプラダがアディダスとコラボし、サッカー用の靴を1足595ドルで発売した。

ギリシャのサッカークラブ、アテネ・カリテアとイタリアのベネチアFCは、大手クラブよりもファン層が少ないが、ソーシャルメディアを巧みに駆使して世界的にアパレルを販売している。

アテネ・カリテアの社長兼クリエイティブディレクターのテッド・フィリパコス氏は「従来の文化を超えた動きを始めると、既存のファンとの間に緊張が走るリスクがある」と語る。従って「多くの大手クラブよりも気配りを行き届かせ、繊細なバランス感覚で動く必要がある」という。

プレミアリーグやブンデスリーガのチームから、彼の戦略に学びたいという連絡を受けたとフィリパコス氏は語った。

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