- 2025/12/11 掲載
生成AIに「脅威」を感じた1,000億円企業社長…BCG流「思考法」で導き出した決断は
ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&シニア・パートナー、福岡オフィス代表。東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系修士修了、ペンシルバニア大学経営学修士(MBA)。日本電信電話(現NTT)を経て1995年にBCGに入社。BCGリスク・コンプライアンスグループの日本リーダー。テクノロジー&デジタルアドバンテッジグループ、およびテクノロジー・メディア・通信グループのコアメンバー。広範な業界における情報テクノロジー、およびデジタル分野の支援経験が豊富。著書に『守りつつ攻める企業―BCG流「攻守のサイクル」マネジメント』(東洋経済新報社)、共著書に『BCGが読む経営の論点2018』、日経ムック『BCG カーボンニュートラル経営戦略』(日本経済新聞出版)、共訳書に『情報スーパーハイウエーとリテールバンキング』(日経BP)、『クラウゼヴィッツの戦略思考』(ダイヤモンド社)。
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生成AIに対し「脅威」と「チャンス」を感じ取った社長
生成AIの活用はグローバルで急速に進展しつつある。理由は次の通りである。まず、従来のAIを使うには専門知識が必要であったが、生成AIは自然言語で指示可能なため誰でも簡単に利用でき、意図やニュアンスをくんだコミュニケーションも可能になった。
また、従来のAIは生成物が不自然で実用化に課題があったが、生成AIはリアルで高精度なコンテンツを生成できる。さらに、従来のAIは特定タスクに特化していたが、生成AIは1つのモデルで文章生成、翻訳、画像生成、プログラム作成、チャットまで対応可能だ。新しいテキストや画像、音声、動画を生み出し、創造性に寄与することも大きな特徴である。
市場調査会社X社は、売り上げ1,000億円、営業利益100億円の国内企業で、「挑戦によって社会課題を実現する」という理念を持つ。
業務内容は以下の通りである。
- 市場調査(マーケットリサーチ)
- 消費者行動分析
- 競合分析
- トレンド分析・予測
- 顧客満足度調査
- マーケティング戦略支援
- 海外市場調査・グローバル展開支援
X社の社長G氏は、生成AIによって、自社の業務を顧客企業自らができるようになり需要が激減するのではないかという脅威とともに、自社の社員が生成AIを最大限に活用できれば、社員数を増やすことなく業容を拡大できるのではないかという機会を感じ取った。そこで、社長直轄プロジェクトチームを組成し、さっそく検討を始めた。
【次ページ】生成AIをどこまで活用できるか「アナロジー」で検討
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