- 2023/12/07 掲載
米大手8行トップ、上院で資本規制強化案に反対表明 融資や経済に悪影響と主張
[ワシントン 6日 ロイター] - 米議会上院銀行委員会が6日、銀行の資本規制強化案に関して開いた公聴会にJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)など大手8行の経営トップが出席し、融資や実体経済に悪影響を及ぼすと口をそろえて訴えた。
バーゼル銀行監督委員会が策定した自己資本強化などの「バーゼル3」は、米国でも連邦準備理事会(FRB)が主導する形で既に段階的に実施が進んでいるが、損失吸収のための資本計算を見直す「最終化(バーゼル・エンドゲーム)」について銀行業界は強く反対している。
ダイモン氏は「原案通りに法制化された場合、これは米経済をFRBが想定していなかったような状況にがらりと変えてしまう」と述べ、再生可能エネルギー向けや地域社会向けといった多くの融資で採算が合わなくなると警告した。
モルガン・スタンレーのゴーマンCEOは、資本増強について「全く必要ない」と主張。銀行業界は既に手元資金が潤沢で、一連の厳しい規制にさらされている以上、何の意味も持たないと切り捨てた。
これに対して銀行委員会のシェロッド・ブラウン委員長(民主党)は、銀行業界が自分たちの収益を維持するため、新たな規制導入に伴うリスクを大げさに言い立てていると批判した。
規制当局は、特に今年春にシリコンバレー銀行など幾つかの地銀が相次いで破綻した事態を受け、将来のショックから金融システムを守るには資本増強が不可欠だとみている。
一方ウォール街に対する批判派として知られる民主党のエリザベス・ウォーレン議員は今回、8行のトップを激しく攻撃する場面は見られず、自身が提案した暗号資産(仮想通貨)業界の取り締まり法案に賛成を求めるだけにとどまった。
野党共和党の議員は、銀行業界寄りの立場を示した。銀行委員会で同党トップのティム・スコット議員は、新たな規制が零細企業に「破滅的な影響」を与えかねないと発言。マイク・ラウンズ議員は8行のトップに、住宅の買い手や農家、零細企業オーナーが痛手を受けるかと思うかと問いかけ、全員が同意の挙手をした。
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