- 2026/03/10 掲載
1日の販売「761万→447万本」に激減…中国でヤクルトが大失速した“皮肉すぎる理由”
消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。
中国の最新技術とそれらが実現させる最新ビジネスをレポートする『中国イノベーション事情』を連載中。
ピークの「1日761万本」からわずか5年で「4割減」
ヤクルトの中国事業が危機に直面している。ヤクルトは2002年に中国に進出して以来、地道に販売を拡大してきた。そして、2020年には1日761.0万本を販売するという記録を達成した。しかし、それからわずか5年。2025年上半期の1日の販売本数は447.2万本にまで減少と、4割以上も落ち込んでしまった。最も落ち込みが厳しい上海では、2018年の65.1万本の最多記録から2024年には22.2万本と1/3にまで減少している。さらには、上海工場は閉鎖、2026年になってヤクルトが最初に建設した広州市の工場も閉鎖が決まった。
なぜ、ヤクルトはここまで急速に市場を失っているのか。その背景には、中国の健康志向が高まるほど、健康飲料であるヤクルトが売れなくなる──そんな皮肉な現象が起きているのだ。
アジア圏の市場も切り開いた「ヤクルトレディ」
ヤクルトが2002年に中国に進出した時の目標は「1日6万本」という控え目なものだった。なぜなら、当時の中国には「プロバイオティクス」(十分な量を摂取すると、健康に役立つ効果を発揮する「生きた微生物」)という考え方が浸透していなかったからだ。ややもすると「活きた細菌を口から飲むのか?」と拒否されることもある。
この誤解を解いて回ったのが「ヤクルトレディ」だ。冷蔵が必須であるヤクルトの戸別訪問配達員だが、配達をしながらプロバイオティクスの効能を説いて回った。ヤクルトレディがマイクロエバンジェリスト(小さな伝道師)として機能することで、ヤクルトを飲む健康法は中国に広がっていった。
このユニークな販促手法は、日本や中国だけでなく、フィリピン、インドネシアなどのアジア圏でも大きな貢献をし、ヤクルトがグローバル展開をする上で大きな推進力となってきた。
しかし、2010年代に入ると風向きが変わった。 【次ページ】なぜ…健康志向高まる中「健康飲料」が嫌われたワケ
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