• 2024/09/17 掲載

アングル:米債券市場、景気巡り見方割れる FOMC控え慎重ムード

ロイター

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Gertrude Chavez-Dreyfuss

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は今週17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で4年半ぶりとなる利下げを決める見通しだが、債券市場では米経済の先行きに対する見方が割れており、慎重なムードが強まっている。

ソフトランディング派は最近の弱い国内指標について、急激な景気下降を示すものではなく、景気後退(リセッション)を示唆していない可能性さえあると指摘。一方のハードランディング派は雇用市場に懸念すべき傾向が見られ、深刻な不況を招く恐れがあるとし、FRBが積極的な利下げを余儀なくされるとの見方を示している。

LSEGによると、米金利先物市場は16日時点で50ベーシスポイント(bp)利下げの確率を59%、25bp利下げの確率を41%と予測。年内の利下げ幅予想は122bpで、来年9月までに約250bpの利下げがあると見込んでいる。

ラッファー・テングラー・インベストメンツの債券部門責任者バイロン・アンダーソン氏は「債券市場とFRBの間には溝がある。市場は間違いなくFRBより弱気だ。どちらかが間違っていることになる」と述べた。

今週のFOMCでは「ドットプロット」にも注目が集まる。6月のFOMCでは今年と来年の利下げ幅が計125bp前後になり、ソフトランディングが実現すると見込んでいた。

今回のドットプロットでは利下げ予想が前倒しになる可能性があるが、市場関係者は積極的な利下げのリスクも指摘している。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツの「プラス・フィクスト・インカム」チームのシニアポートフォリオマネジャー、ノア・ワイズ氏は、ソフトランディングの実現は可能で、中立金利は3%を下回らないと予想。

「消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は予想とほぼ一致しており、50bp利下げを支持するものではない。経済の緊急事態ではない」と述べた。

<短期デュレーション戦略とスティープ化トレード>

市場関係者によると、ソフトランディング派は債券ポートフォリオのデュレーションを短期化している。この短期デュレーション戦略は利下げサイクルとソフトランディングが重なる場合に長期デュレーション戦略をアウトパフォームする傾向があるという。

債券投資家はこれまで利下げや景気後退のリスクに備えるため、デュレーションの長期化を図ってきた。景気が減速する局面では中・長期債が他の資産をアウトパフォームする傾向が強い。

ソフトランディング派であるラッファー・テングラーのアンダーソン氏は「デュレーションを短期化する時が来た。われわれは短期債の保有を継続し、まだ5%近い利回りがある3カ月物国債を活用する」と述べた。

アナリストは、タイトな米社債スプレッドもソフトランディング派が多いことを示していると指摘する。

ICE・BofA米投資適格社債指数によると、先週末のオプション調整後スプレッドはわずか99bp。新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年3月には382bpに達していた。

ICE・BofA米高利回り社債指数も先週末時点で337bpと、新型コロナ流行初期に記録した1009bpを大幅に下回っている。

オールスプリングのワイズ氏は現在のスプレッドについて、投資家がハードランディングを懸念していない証拠だと分析している。

だが、ブラウン・アドバイザリーの債券部門共同責任者、クリス・ディアス氏は、社債市場は経済全体のごく一部に過ぎないと指摘。労働市場が悪化しており、来年末までに250bpの利下げが織り込まれている現状は正当化できると述べた。

同氏によると、労働市場では公務員、医療、教育といった景気循環に左右されない仕事のみが増えており、「この傾向が続けば、就業者が月間ベースで減少するようになるのもそう遠くない」という。

ディアス氏は、ハードランディング派の存在は「スティープ化トレード」に見て取れると指摘。この取引は短期国債に強気、長期国債に弱気な姿勢を取り、利下げ時に見られるという。

2年債と10年債の利回り曲線は2年以上、逆イールド状態が続いていたが、足元ではスティープ化している。16日には10bpと、22年7月以降で最大となった。

同氏は「最近、利回り曲線は大幅にスティープ化している。だが、スティープ化はまだ初期の段階にあり、今後さらに進行するだろう」との見方を示した。

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