- 2025/05/27 掲載
米金利、関税の影響見極めるまで現状維持を=ミネアポリス連銀総裁
By Leika Kihara
[東京 27日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は27日、トランプ政権の関税政策がインフレに及ぼす影響がより明確になるまで、政策金利を据え置くべきとの考えを示した。関税などの供給側の要因による物価上昇の影響を軽視すべきではないと警告した。日銀が主催した会議で述べた。
トランプ大統領による広範な関税措置が経済に与える衝撃や、米国の通商政策に関する不透明感により、各国の中央銀行はインフレ抑制と経済活動の支援のどちらを優先すべきか判断を迫られていると指摘した。
米連邦準備理事会(FRB)内では「健全な議論」が交わされており、一部の当局者は関税の影響を一時的なインフレ要因に過ぎないとみなして重視せず、利下げによって経済成長支援を優先すべきだと主張しているという。
一方で、米国の通商交渉が早期に解決する見込みは薄いとの見方から、関税に起因するインフレを静観視することに反対する意見もあり、カシュカリ氏自身もこの立場だと説明した。
「交渉が完全に妥結するには数カ月、あるいは数年かかる可能性があり、貿易相手国が互いに報復措置を取る中で、関税のさらなる引き上げが起こるかもしれない」と述べた。
さらに、中間財に課される関税が最終製品の価格に完全に転嫁されるまでには時間がかかるとの見方を示した。
米国のインフレ率がFRBの目標である2%を4年間にわたり大幅に上回っている状況を踏まえると、長期的なインフレ期待がいつまで目標値から乖離(かいり)せずにいられるか懸念されると指摘した。
現行の政策金利はおそらく緩やかに引き締め的な水準に過ぎないとの認識を示した上で、「関税の今後の展開と、関税が物価と経済活動に与える影響がより明確になるまで現状を維持する姿勢が支持される」と述べた。
「個人的には、長期的なインフレ期待を安定させることを最重要視しているため、こうした主張に説得力を感じる」と語った。
カシュカリ総裁は、政策立案者は大きなショックに直面した際に、テイラールールなどの政策ルールに頼るのではなく、判断力を働かせて決定を下す必要があると指摘。「シンプルな政策ルールは、見た目が洗練されていて、政策プロセスから不完全な人間の判断を排除できるため魅力的だが、経済に大きな混乱が生じた場合には不合理な勧告につながる可能性がある」と述べた。
その上で大規模なショックは政策担当者にとって、ショックの根底にある動向を理解し適切な政策対応を決定する上で不確実性を生み出すとし、「このような状況では、時間をかけてより多くの情報を集め、政策立案者の集合的判断に役立てることが、不完全な選択肢の中では最善となる可能性がある」と述べた。
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