- 2025/05/29 掲載
インフレと失業の「難しいトレードオフ」を懸念=FOMC5月議事要旨
Howard Schneider
[ワシントン 28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が28日公表した5月6─7日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、今後数カ月でインフレと雇用悪化という「難しいトレードオフ」に直面する可能性があると認識していたことが分かった。トランプ政権が提案した関税の引き上げを受け、「ほぼ全ての参加者が、インフレが予想以上に持続するリスクがあるとコメントした」という。
5月のFOMC後、トランプ米政権は中国からの輸入品に対する145%の関税を引き下げることで合意した。これを受けて見通しは変化した可能性が高い。関税を巡る見通しは債券利回りを押し上げ、株価を下げ、米国経済の鈍化予測につながっていた。
今回公表された議事録では、FRBの政策立案者とスタッフが、流動的なトランプ政権の政策から生じる結果について重要な議論を行っていたことが示された。
中国などに賦課する関税の延期により、多くのアナリストが景気後退リスク予想を後退させたが、FRBスタッフは5月初旬の時点で、景気後退リスクは、成長は減速するものの継続するという基本見通しと「ほぼ同じくらいの可能性がある」とみていた。
またFRB当局者は、会合前数週間の債券市場の変動を注視する必要があると指摘。米ドルの安全資産としての地位の変化は、国債利回りの上昇と共に「経済に長期的な影響を及ぼす可能性がある」とも指摘した。
失業率とインフレ率の上昇についてはFRBスタッフの見通しで、関税の影響によって今年のインフレ率が「著しく」上昇し、雇用市場は「大幅に弱まる」との予想が示されている。物価と失業率が同時に高まれば、FRBは金融引き締めでインフレ対策を優先するか、成長と雇用を支えるために利下げを優先するかの判断を迫られることになる。
議事要旨によると、経済見通しに関する不確実性がさらに高まる中、参加者は一連の政府政策変更の純経済効果がより明確になるまで慎重なアプローチを取ることが適切との点で一致した。
FRBは5月のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を全会一致で4.25─4.50%に据え置いた。インフレと失業率が共に上昇するリスクが高まっていると指摘し、トランプ米大統領の関税政策により経済見通しが不透明さを増す中、FRBが対応に苦慮していることが浮き彫りになった。
FRBのパウエル議長はFOMC後の記者会見で、関税措置が着地し、経済への影響がより明確になるまで、見極める姿勢を示した。
次回のFOMCは6月17─18日に開かれ、金利のほか、物価や雇用を含めた経済見通しが発表される。3月に公表された見通しでは、年末までに2回の引き下げを見込んでいた。
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