• 2025/06/01 掲載

アングル:中国のロボタクシー企業、こぞって中東に進出 ビジネス環境と需要が後押し

ロイター

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Zhang Yan

[アブダビ 29日 ロイター] - 中国の自動運転タクシー(ロボタクシー)企業にとって、中東湾岸地域は今や注目の的となっている。ビジネス環境が技術の導入を後押ししており、配車サービスの力強い需要があるためだ。各社が最近、中東湾岸地域での事業拡大計画を相次いで発表し、進出への熱意が浮き彫りになった。

中国のロボタクシー企業、小馬智行(ポニー・エーアイ)は今週、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの道路交通局との提携を公表した。中国のロボタクシー企業としてはネット検索大手の百度(バイドゥ)、文遠知行(ウィーライド)に続き3社目だ。

ポニー・エーアイは年内にドバイ市内で試験運用を開始し、2026年に完全無人運転での運行を開始する予定。ウィーライドも今週、サウジアラビアへの進出を発表した。首都リヤドなどで車両テストを進めており、今年後半には商用サービスを始める計画を立てている。同社は既に今月、UAEのアブダビで完全無人ロボタクシーの運行試験を始めており、今年6月末からは商用運行も開始する予定。さらに近くドバイでもサービスを開始する計画だ。

バイドゥも3月、UAEに拠点を置くオートゴーと提携し、アブダビに「数十台」のロボタクシーを導入する計画を発表。26年の商用運行開始を目指し、年内にドバイでも試験運用を開始する予定。

バイドゥの自動運転部門アポロの欧州・中東市場責任者のジャン・リャン氏は「UAEは比較的オープンだが、具体的な面では慎重かつ実務的なアプローチをとっている」と指摘する。先週アブダビで開催された世界新エネルギー車会議(WNEVC)で、「積極的な競争があるのはむしろ歓迎すべきこと。われわれは競争を恐れるつもりはない」と胸を張った。

ドバイは交通渋滞の悪化や、主に出稼ぎ労働者に頼るタクシーや配車サービスの不足を懸念しており、30年までに日常的な交通手段の25%を無人の自動運転に任せるとの目標を掲げている。アブダビでは40年までに25%、サウジアラビアでは30年までに15%をそれぞれ目指している。

カタールを拠点とする独立系コンサルタント、ター・ムハンマド・アブドル・カリーム氏は「中東のような市場は既にインフラが整っており、資本にも恵まれており、何よりも野心がある。それが非常に重要だ。だからこそ各社が中東湾岸市場に参入しようと列をなしている」と指摘した。

ポニー・エーアイとウィーライドは中東湾岸地域でウーバーと提携しており、両社の車両はウーバーのアプリを通じて配車可能になっている。

<先行する中国企業>

中東湾岸地域は米国と中国のロボタクシー企業が初めて本格的に競い合う地域となりそうだ。

トランプ米大統領の5月の中東歴訪に同行して湾岸地域を訪れた米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、自社のロボタクシー「サイバーキャブ」をサウジに導入する意向を表明した。ただ、具体的な時期には触れなかった。

現時点で有料無人ロボタクシーサービスを運用している米企業はウェイモのみ。テスラは今年6月末までにテキサス州オースティンで試験運用を開始し、数カ月以内に約1000台の車両展開を目指すとしている。

一方、実績や経験の積み上げでは中国企業が先行している。

バイドゥのリャン氏は、同社の車両が今年3月までに中国国内で重大な事故を起こすことなく累計1000万回の運行を達成したと述べ、海外展開に自信を示した。

バイドゥは2022年から国内の複数の都市でアポロ・ゴーのロボタクシーサービスを商用運行している。これらの車両の自動運転は「レベル4」で、特定エリア内に限って無人での運行が可能だ。しかし、運行エリアは広く、たとえば武漢市では総延長3000キロ超の公道がロボタクシーに開放されている。

リャン氏は「今年はアポロが正式に海外進出する最初の年になる」と述べ、欧州と東南アジアにも進出する計画があると明かした。具体的なスケジュールには言及しなかった。

ポニー・エーアイは中国国内で300台のロボタクシーを保有し、将来的にドバイの地下鉄やトラム路線との統合も視野に入れている。

トヨタ自動車の支援を受けているポニー・エーアイは、25年を商用展開元年と位置づけており、続いて2年間に世界全体で数千台の車両展開を目指す。米国と韓国、ルクセンブルクで試験運転の許可を取得済みだ。

ウィーライドは自社のロボタクシー「GXRミニバン」について、中国国内の複数の都市やスイスのチューリヒおよびアブダビで「公的な運行」を開始したと発表。今年5月にはウーバーと提携し、今後5年間で15都市への拡大を計画している。さらに中東だけでなく、運転手不足が深刻化しているシンガポール、日本、欧州を主要なターゲット市場と位置付けている。

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