- 2025/06/04 掲載
NY市場サマリー(3日)株続伸、ドル上昇、長期債利回り低下
米ホワイトハウスのレビット報道官は、トランプ大統領がこの日のうちに、米国が輸入する鉄鋼・アルミニウム製品にかける追加関税を2倍の50%に引き上げる大統領令に署名すると表明。トランプ氏は5月30日、50%への関税引き上げを6月4日から実施すると明らかにしていた。4日はトランプ政権が各国に貿易交渉における最善の提案を提出するよう求めている期限でもある。
INGのストラテジスト、フランチェスコ・ペソーレ氏は「関税を巡る動きは極めて重要だ」とし、「トランプ大統領と中国の習近平国家主席は週内にも会談すると見られているが、これまでの直接対話が緊張緩和につながったこともある。このため、週内のいずれかの時点でドルにプラスになるサプライズがもたらされる可能性がある」と述べた。
終盤の取引でドル/円は0.9%高の144.00円。ユーロ/ドルは0.6%安の1.1371ドル。ユーロは一時1.1454ドルと、6週間ぶり高値を付けていた。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「ドルは大幅に売られた後、やや反発した」と指摘。ただ「ドルが意味のある形で転換したことを示す新たな材料はない」とし、この日の反発は限定的なものとの見方を示した。
<債券> 米金融・債券市場では、長期ゾーンの国債利回りが低下した。関税交渉を巡る会談やトランプ政権の予算案審議に関する一段の情報が待たれる中、終盤にかけて利回りは低下幅を縮小した。
トランプ大統領は週内にも、中国の習近平国家主席と会談する可能性が高いとみられる。相互関税の上乗せ部分の90日間一時停止期限が約5週間後の7月8日に迫る中、トランプ政権は貿易相手国に対し、4日までに最善の貿易交渉案を提示するよう求めている。
フェデレーテッド・エルメスの債券ポートフォリオマネジャーのカレン・マンナ氏は「市場はおおむねレンジ相場に入っており、ここから抜け出すには良くも悪くも何らかの要因が必要だ」と指摘。連邦準備理事会(FRB)の政策方針と同様、市場も明確な方向性を見出せずにいるとの見方を示した。
指標となる10年国債利回りは0.4ベーシスポイント(bp)低下の4.458%。
労働省が発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)は求人件数が19万1000件増の739万1000件となった一方、解雇件数も増加し、労働市場の減速を示唆した。
<株式> 米国株式市場は続伸して取引を終えた。米国と貿易相手国の通商協議が待たれる中、エヌビディアなど半導体株が上昇した。
米ホワイトハウスはトランプ大統領が中国の習近平国家主席と週内にも電話会談するとしている。また、相互関税の上乗せ部分に対する一時停止措置の期限が約5週間後に迫る中、トランプ政権は貿易相手国に対し、4日までに最善の貿易交渉案を提示するよう求めている。
ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ最高投資責任者は「投資家にとって最も重要なのは、米政権が予想をはるかに上回る関税を課し、そのまま放置するつもりではないということだ」とし、「米国が中国、英国、日本、欧州連合(EU)など多くの貿易相手国と積極的に関与していることから、投資家は景気後退回避をより楽観視している」と述べた。
エヌビディアの2.8%上昇に支えられ、情報技術株が1.5%高となった。半導体のブロードコムは人工知能(AI)の高速化を目指す最新のネットワークチップの出荷を開始したと発表したことを受けて過去最高値を更新。3%超上昇した。
CFRAリサーチのシニアエクイティアナリスト、アンジェロ・ジーノ氏は、トランプ氏と習氏の電話協議で半導体も議題になる可能性が高いと指摘。「エヌビディアが現在、実質的に中国から締め出されていることを考えると、いかなる議論も同社や半導体にとってプラスになる可能性が高い」との見方を示した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、前日に1カ月半ぶりの高値を付けた反動から利益確定の売りが優勢となり、反落した。
前日の金相場は、米高関税政策を背景に欧州や中国との通商摩擦が激化するとの懸念が強まる中で清算値ベースでは約1カ月半ぶりの高値を付けた。この日は反動から利益確定 の売りが優勢となった。
米労働省が3日発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人数が前月比19万1000件増の739万1000件と、市場予想(ロイター調査) の710万件を上回った。米雇用情勢を巡る警戒感が後退、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が遠のくとの観測につながり、対ユーロでドル買いが先行。ドル建てで取引される金に割高感が生じ、売りが優勢となった。米政権は2日、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の電話会談が今週にも行われると明らかにした。レビット米大統領報道官は3日、「米中のリーダーの電話会談が間もなく行われる」とした。米中首脳の通商協議の内容が注視される中、買い控えムードも広 がった。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、 ウクライナ情勢や米イランの核協議を巡る地政学リスクへの警戒感を背景に続伸した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は週末、同国保安局(SBU)主導で、ロシア各地の空軍基地にドローン攻撃を行ったと認めた。SBUは3日には、ロシアが併合したクリミア半島とロシアを結ぶクリミア橋の基礎部分を爆破したと明らかにするなど、両国の戦闘に沈静化の兆しは見られない。2日に行われた今年に入り2回目となる両国の直接協議でも、長期化した侵攻の停戦に関して具体的な進展はなかった。ロイターによると、ロ シア側が戦争終結に向けウクライナと合意に至る作業は極めて複雑で、拙速に決定すべきではないとの見解を示した。地政学的リスクへの警戒感から原油の買いが先行し、相場は 一時64ドル台に迫った。
石油輸出国機構(OPEC)加盟の主要産油国イランと米国の核協議を巡る不確実性も相場の支援要因。米ニュースサイト「アクシオス」が2日報じたところによると、イラン 核開発を巡り、米国がイランに低レベルのウラン濃縮活動を限定的に容認する案を示した。米側はこれまで、イランによるウラン濃縮活動の完全停止を求めてきたが、イランは強硬に反発。米国の譲歩に対して、イランが応じるかは不透明で、対イラン制裁措置にどう影 響するか注視されている。
ドル/円 NY終値 144.00/144.
02
始値 143.05
高値 144.10
安値 143.05
ユーロ/ドル NY終値 1.1370/1.13
73
始値 1.1397
高値 1.1399
安値 1.1365
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 96*12.5 4.9831
0 %
前営業日終値 96*07.0 4.9950
0 %
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*11.0 4.4577
0 %
前営業日終値 98*10.0 4.4620
0 %
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.2 4.0261
5 %
前営業日終値 99*29.2 4.0190
5 %
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.0 3.9572
0 %
前営業日終値 99*27.7 3.9450
5 %
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 42519.64 +214.16 +0.51
前営業日終値 42305.48
ナスダック総合 19398.96 +156.34 +0.81
前営業日終値 19242.61
S&P総合500種 5970.37 +34.43 +0.58
前営業日終値 5935.94
COMEX金 8月限 3377.1 ‐20.1
前営業日終値 3397.2
COMEX銀 7月限 3463.3 ‐6.1
前営業日終値 3469.4
北海ブレント 8月限 65.63 +1.00
前営業日終値 64.63
米WTI先物 7月限 63.41 +0.89
前営業日終値 62.52
CRB商品指数 296.8128 +1.8841
前営業日終値 294.9287
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