- 2025/06/04 掲載
アングル:インド中銀、外資の銀行出資規制緩和を検討 強い関心や資本ニーズに対応
銀行は、インド経済で最も規制されている分野の一つ。ポートフォリオ投資家を含む外国人は74%まで所有できる一方、戦略的外国人投資家の持ち株比率は15%以下に制限されている。
外資系銀行は議決権の上限を26%以下に抑えられており、いわゆるプロモーター(経営上の意思決定に直接的な影響力を持つ戦略的投資家)が大量に保有している株式は15年以内に保有比率を26%以下に減らすことが義務付けられている。
ただ、情報筋は中銀が持ち株の保有比率低下に猶予を与えることに前向きになっていると指摘。また、SMBCのイエス銀行株取得で15%を上限とする出資規制の適用が除外されたことも規制緩和の流れだと指摘した。
中銀はコメント要請の電子メールに回答しなかった。
中銀のマルホトラ総裁はインド紙タイムズ・オブ・インディアのインタビューで、中銀が銀行への出資規制と許認可規則の見直しを検討していることを明らかにした。
関係者によると、中銀はケース・バイ・ケースで外国資本による出資規制を上回る銀行株取得を承認や、外国資本による買収の阻害要因を取り除くための一定の規制変更を検討している。
アナリストらによると、外資系銀行は急成長している主要経済国であり、地域で貿易協定締結を進めているインドでの出資案件に意欲的になっている。このような協定は、アジアや中東のグローバル金融機関のインドでの新たな事業機会を切り開く可能性がある。
インド銀行協会のマダブ・ナイール副会長は「インドの力強い経済成長と、未開拓の巨大市場の存在が関心を後押ししている」と述べた。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアソシエート・マネージング・ディレクター、アルカ・アンバラス氏は、インドが中期的に銀行システムにより多くの資本を必要とするとして「このことが規制当局に強力なグローバルプレーヤーの銀行システム参加検討を促したかどうかは別として、そのようにする十分な根拠にはなるだろう」と言及した。
中銀によると、インドの銀行の融資残高に占める外資系銀行の割合は4%未満にとどまっている。
IDBIの60%の株式取得を巡っては、カナダのフェアファックス・ホールディングスと、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの銀行エミレーツNBDが争っている。
エミレーツNBDはインド子会社設立の認可を最近受け、インドではシンガポールのDBS、モーリシャス国立銀行に次いで3番目の大手外資系銀行となった。
情報筋は、エミレーツNBDはIDBIの株式取得に関心があったためインド子会社を設立したと指摘した。
エミレーツNBCはコメントを拒否した。フェアファクスはコメントの要請に応じなかった。
格付け会社フィッチは先週の顧客向けのメモで、中銀が出資規制に盛り込んでいる議決権の上限を26%から引き上げるか、出資上限を15%から引き上げることで外資系銀行による出資が促進される可能性があると言及。その上で、業績が好調で企業統治が強固な外資系銀行がインドでの完全子会社を通じ、26%を超えるインドの銀行の株式を取得することを中銀が望んでいるとの見方を示した。
情報筋によると、議決権の制限は法律で守られているため、インド財務省が検証する必要がある。
この情報筋は、国内投資家が銀行経営への参画に関心を示していないことを踏まえると、中銀が所管する規制で外国の戦略的投資家へのスタンスを調整する必要があるかもしれないとして「長期的な資本をどこから調達するのかは、よく考えなければならないだろう」と語った。
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