- 2025/06/06 掲載
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<関税措置を巡る影響>
米国の関税措置の導入が確定すれば、2026年に主に影響を及ぼすが、その後は、軍事装備品および建設・インフラへの投資により大幅に相殺されると考えている。
<休止を確認せず>
現時点で(利下げの)休止を確認しているわけではない。
<大きなショックまだ見られず>
金融政策の一時停止は確約せず、今後の将来の決定については何も断言しない。それらは現時点では見られない大きなショックに基づいてのみ検討する。
<利下げサイクル終了への道筋>
きょうの利下げおよび足元の金利水準からすると、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)やウクライナ戦争、エネルギー危機など複合的なショックに対応してきた金融政策サイクルは終わりに近づいていると思う。
当然ながら、時代は異なり、パートナーや政策も異なるが、われわれは引き続き分析や検証を続け、(インフレ率)中期目標の2%を達成できるよう努める。
<重大な不確実性>
現在、われわれは大きな不確実性に直面している。金融政策声明でも、「不確実性」という文言を9回から10回ほど使用している。
<金融政策の位置は良好>
足元の政策金利の道筋と、きょう決定した0.25%ポイントの利下げにより、われわれの金融政策は今後直面する不確実性に対処できる良好な位置にある。
金融政策声明にある通り、われわれは会合ごとに、データに基づいて決定を行っていく。2%に設定している中期インフレ目標を達成するために、データが入手されるたびに検証していく。
<ラガルド氏の早期退任観測>
私はこれまでも、そして今も、自分の使命を全うすると固く決意しており、任期を全うする決意をしていると言明できる。
<決定は「ほぼ全会一致」>
決定はほぼ全会一致だった。理事会メンバーのうち、決定を支持しなかったのは1人だった。このため、0.25%ポイントの利下げの決定には極めて幅広い合意が得られた。
<インフレ見通しは一段と不透明>
ユーロ圏のインフレ見通しは通常よりも不透明になっている。
<ユーロ圏の競争力強化>
現在の地政学的環境においては、ユーロ圏経済の生産性と競争力を高めるための財政政策と構造政策がさらに急務となっている。
最近発表された防衛・インフラ投資強化策も、現在の地政学的環境における成長を後押しするはずだ。
<貿易リスク>
世界的な貿易を巡る緊張が一段とエスカレートし、それに関連して不確実性が高まることで、輸出が抑制され、投資と消費が低迷し、ユーロ圏の経済成長が鈍化する可能性がある。一方、貿易と地政学を巡る緊張が速やかに解消すれば、センチメントが改善し、経済活動が促進される可能性がある。
<成長に対する下振れリスク>
経済成長に対するリスクは依然として下向きに傾いている。
<インフレの安定化>
大部分の基調インフレ指標で、インフレ率は中期的に目標とする2%で持続的に安定することが示されている。
<関税>
高関税とユーロ高により、輸出業者にとって状況が厳しくなると予想される。
<見通し弱体化>
調査データでは、全体として短期的にやや弱い見通しが示されている。製造業は関税導入の前倒し需要で強化されたが、非製造業は減速している。
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