- 2025/06/19 掲載
焦点:FRBは慎重姿勢、関税リスク巡る市場の不安消えず
FRBは17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を予想通り4.25─4.50%に据え置いた。政策当局者らは年内に金利がある程度引き下げられる見通しを再確認したものの、トランプ政権の関税計画を巡る不確実性からインフレが上昇する可能性があるため、今後の全体的な利下げペースについては鈍化する可能性を示唆した。
BNYの市場ストラテジスト主任のボブ・サベージ氏は「FRBが落ち着いていることは、投資家にとって安心材料になるはずだが、一方で、今後発表される全てのデータに対する不確実性も反映している」と述べた。
FRBは今年のインフレ見通しを若干修正し、3月時点の2.7%から3%に引き上げた。一方、今年の経済成長率見通しは1.7%から1.4%に下方修正した。
5月のコアインフレ率が軟調となり、幾分の安心感を市場に与えていたものの、FRBの経済見通し引き下げに加え、中東危機の深刻化やそれによるエネルギー価格上昇の可能性が影を落としている。
フィデューシエント・アドバイザーズのブラッド・ロング最高投資責任者(CIO)は「インフレ率がゼロかマイナスに落ち込むという材料はあまり出ていない。リスクは上向きで、FRBもそれを認識している」と語った。
パウエル議長は記者会見で、 トランプ政権の関税の影響について「モノのインフレが幾分上昇した」とし、「夏にかけて一層表れる」という見通しを示した。
最新の金利・経済見通しによると、3月および昨年12月と同様に、年末までに計0.5%ポイントの利下げが実施されるとの中央値が示された。しかし、年内の利下げは不要との見方を示した当局者は3月に比べて増加した。来年と2027年はそれぞれ0.25%ポイントの利下げを予想し、緩和ペース鈍化の可能性を示唆した。
PGIMフィクスト・インカムのチーフ投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏は、結果はタカ派的だったと指摘。「FRBはインフレに焦点を絞っている。成長の多少の弱さは容認するつもりだ」と語った。
<夏に物価上昇>
トランプ大統領はFRBに利下げを繰り返し要求しているが、パウエル議長はサプライチェーン全体の企業が関税をどのように吸収するか苦慮する中、新たなコスト上昇圧力が近く見込まれると警告した。
一方、トランプ大統領は先週、米国の高関税の発動前に各国との貿易交渉を完了させる期限を現行の7月8日から延長しても構わないと述べた。
RBCキャピタル・マーケッツの米国金利戦略責任者、ブレイク・グウィン氏は、7月の関税期限が依然として市場にとって重要だと指摘。「リスクイベントについて考えると、これは今後かなり大きな問題になる」との見方を示した。
グレンミードの投資戦略担当副社長、マイケル・レイノルズ氏は、投資家にとって今後数カ月のインフレデータが極めて重要になるとし、「それらが伝える総合的な状況は、利下げや利下げ期待を背景にリスクオン相場の上昇がさらに進むのか、それとも依然として不確実性の中で様子見が続くのかを見極める上で有益となる」と語った。
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