• 2025/06/19 掲載

超長期債、7月から1000億円減額:識者はこうみる

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[東京 19日 ロイター] - 2025年度国債発行計画修正案の概要が19日、分かった。焦点となる超長期国債の発行見直しでは、20年と30年、40年債の発行額をいずれも7月から1000億円減額する。市中向けカレンダー発行額は171兆8000億円に見直す。

市場関係者に見方を聞いた。

◎徐々に市場価格発見機能は改善へ

<ニッセイ基礎研究所 金融調査室長 福本勇樹氏>

ドラスティックに構造の変化を起こすような調整ではない。足元の流動性の偏りをならすという意味では、短期の発行ニーズの強さと超長期債に対するニーズの低さを調整することでいったん様子を見て、今後は日銀の国債買い入れの減額による影響を見ながら調整していくということだろう。

初期反応として超長期債の金利は上昇した。一部でさらなる減額幅を期待していた市場参加者による売りや出尽くし感があったとみている。実際には、超長期債の各年限1000億円の減額は多少需給が引き締まる方向には向くとみている。

市場の価格発見機能が徐々に正常化するという期待や、拡大している超長期ゾーンのスワップ・スプレッドを抑止する効果にはつながる。スプレッドが縮小していくかどうかは、引き続き生保や年金勢など長期保有の投資家の動向次第になるだろう。

◎緩やかにイールドカーブは修正へ

<野村証券 エクゼクティブ金利ストラテジスト 岩下真理氏>

超長期ゾーンの各年限が1000億円の減額になることは市場では中心的な見方だったものの、このタイミングで報じられたことはサプライズだった。超長期債の減額に伴い、5年債が増額されなかったことは朗報だったとみられ、後場に入り新発5年債は買い進まれている。

報じられた通りの国債発行修正案となれば、日銀と財務省によるイベントがこなされた状態で、それぞれの工夫の下、緩やかにイールドカーブは修正されていくだろう。

ただ、30年債と40年債が取り残されていることを踏まえると、新発債の減額はあるべき方向性としては重要であるものの、実際に需給が崩れている既発債の解消については時間がかかるとみている。

今後は日米中銀が米トランプ関税の行方を見極め、日本は利上げ方向に進むのか、米国は減税法案で財政リスクが意識される可能性があり、長いゾーンの金利は下がりにくい地合いが続くとみている。

◎需給不安は払拭されず

<三井住友トラスト・アセットマネジメント シニアストラテジスト 稲留克俊氏>

超長期債は発行が各1000億円減にとどまり、流動性供給入札も減額となるものの、需給不安は残るという印象だ。

受け皿が国庫短期証券と2年債の増額で、5年債を増やさなかったことはサプライズだった。発行のデュレーションが短期化するため、より自転車操業感が増してしまう。借り換え債の発行が増え、毎年の国債発行額を減らしにくくなる。

長い期間の国債を発行できるというのが信用力の一つの指標である中で、結果的に短い債券にしか頼れなくなるということは信用力が弱まっているという側面もある。

財務省ではなく、本質的には政治サイドが危機感を持って財政運営を行わなければいけないということだろう。

財務省はポジティブサプライズ的な決め方をする傾向があるため、20日開催予定の国債市場参加者会合と23日の国債投資家懇談会を経て、修正案に変化があるか注目している。

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