• 2025/06/19 掲載

アングル:米銀の資本規制見直し、国債市場には期待外れの恐れも

ロイター

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[ニューヨーク 18日 ロイター] - 米国の大手銀行の各種レバレッジ規制の見直し論議を巡り、警戒感が出始めている。規制緩和を待ち望んでいた米国債市場参加者にとっては、金融規制当局がレバレッジ比率の算出基準から米国債を対象外とせず、自己資本要件の緩和を選択すれば、失望する可能性があるためだ。

米連邦準備理事会(FRB)は今週、米銀大手向けのレバレッジ要件の緩和案を25日の会合で検討すると発表し、銀行規制全体の見直しに発展する可能性が高い議論はキックオフを迎えることとなった。議題には「補完的レバレッジ比率(SLR)」の見直しが含まれている。このルールは、銀行は保有するすべての資産に対して、リスクの有無にかかわらず、一定の自己資本を充てなければならないというものだ。

ロイターがこれまで報じた経緯によると、FRBのほか、連邦預金保険公社(FDIC)や通貨監督庁(OCC)などがレバレッジの計算式を調整して、大手銀行の負担を軽減したり、米国債のような非常に安全な投資に対して救済措置を講じたりするかどうかを検討してきた。

現在、全ての銀行は、資産とデリバティブ(金融派生商品)のようなオフバランスシート項目であるレバレッジ・エクスポージャーに対し、自己資本の3%を充てることが義務付けられている。さらに、グローバルなシステム上重要な銀行(G―SIBs)は「強化補完的レバレッジ比率(ESLR)」として2%の上乗せが必要だ。

業界関係者2人の話では、FRBは米国債のような資産を幅広く要件の対象から除外するのではなく、ESLRを微調整し、全体的な負担を軽くしようとしているとみられている。ただ、FRBは対象除外の検討対象の一部については銀行関係者に意見を求める可能性がある。FDICは26日に協議の場を持ち、比率変更案についても議論する予定だ。

ブルームバーグは17日、規制当局が大手銀行のESLRを最大1.5%ポイント引き下げ、3.5―4.5%の範囲に修正することを念頭に置いていると報じた。

米金融大手ウェルズ・ファーゴのアナリストは「われわれの見解では、今回のニュースはやや期待外れだ。市場参加者の多くは、米国債をSLR(計算式の)分母から除外する措置を期待していたと思われる」と指摘した。

長期ゾーンの米国債利回りとスワップ金利の差であるスワップスプレッドは年初、拡大していた。銀行資本規制の変更が米国債需要を増やすとの期待が要因だった。ただ、18日は縮小し、マイナス幅が一段と拡大した。

この動きについてドイツ銀行の米国金利ストラテジストのスティーブン・ゼン氏は、規制当局がESLR引き下げを計画しているとの報道に対する市場参加者の失望感を反映している可能性が高いと述べた。

10年物スワップスプレッドは17日、マイナス53ベーシスポイント(bp)だったが、足元ではマイナス54bpとなった。30年物スワップスプレッドはマイナス86.5bpだったのがマイナス88bpへとマイナス幅が広がった。

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