- 2025/07/10 掲載
アングル:米第2四半期決算シーズン幕開けへ、関税の影響に注目
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米企業の第2・四半期決算シーズンが間もなく始まる。投資家はトランプ米大統領の関税措置による影響に注目するだろう。
増益率は第1・四半期に比べて鈍化するとみられるが、急激なドル安が関税の影響を相殺する一助となるかもしれない。LSEGのデータによると、第2・四半期の前年同期比増益率は5.8%と、第1・四半期の13.7%を下回る見通しだ。
JPモルガンやその他の大手銀行による15日の決算発表が、決算シーズンの非公式な幕開けとなる。
S&P500種総合株価指数が再び過去最高値を更新したことで、増益が高い株価を支えるのに十分かどうかが改めて疑問視されるようになった。
LSEGのデータでは、S&P500の利益予想に基づく株価収益率(PER)は約22倍と、過去10年間の平均約18倍を上回っている。
トランプ氏は8日に世界貿易戦争を拡大し、輸入する銅に50%の追加関税を課すと発表したほか、医薬品や半導体の関税にも言及した。
トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズの首席市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏は、第1・四半期の決算シーズンでは「業績ガイダンスを引っ込める企業が予想より大幅に少なく、企業は比較的持ちこたえていることが示された。ただ問題は、企業はまだ実際の影響を経験していないからこそ持ちこたえている可能性があることだ」と語った。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は、多くの企業の電話会議で関税が再び話題に上ると予想した。
ゴールドマン・サックスの首席米株ストラテジストとそのチームは、関税引き上げはまだ総合指数のレベルでは売上高予想や設備投資計画を圧迫していないと説明。しかし、関税の影響を吸収せざるを得ない一部企業では利ざやにリスクが生じると指摘した。ゴールドマンは、関税引き上げによる直接的コストの70%を消費者が吸収すると予想している。
第2・四半期の業績予想は、トランプ氏が「相互関税」を発表した4月初めに急低下したが、ここ数週間は落ち着いている。
ただ自動車、運輸、消費者向け耐久財など関税の影響を被るセクターの業績予想は4月初めの水準を大幅に下回ったままだと、UBSのストラテジストチームはノートに記した。
LSEGデータ&アナリティクスのシニア調査アナリスト、タジンダー・ディロン氏によると、第2・四半期の増益率予想は過去3カ月間で4.4%ポイント低下した。これは過去3年間の平均低下幅(3.5ポイント)より大きい。
ストラテジストらは、このことは必ずしも悪い兆候ではないと言う。S&P500社の大半は通常、業績がアナリスト予想を上回るものだし、予想が切り下がればそのハードルが下がるからだ。
データトレックの共同創業者ニコラス・コラス氏は最近のノートで「予想が十分低いため、第2・四半期には多くのS&P500企業が増益率予想を大幅に上回ることができそうだ」と予想。S&P500指数が最近、過去最高値を更新したことから、市場も自身と同じ見方をしているのが分かると記した。
コラス氏を含む市場関係者は、ドル安が海外での米製品価格の低下を通じて企業収益に恩恵をもたらす可能性があるとみている。
主要通貨バスケットに対するドル相場を示すドル指数は、第2・四半期に約7%低下した。年初からは約10%下げ、上半期として1973年以来で最大の下落率となっている。
タズ氏は「(大企業である)フォーチュン500社の多くは事業の半分を海外で展開しているため、ドル安は一部企業に良いサプライズをもたらす可能性があり、今後の関税の影響を相殺するのに十分かもしれない」と語った。
ハイテク株は第1・四半期に下落したが、第2・四半期には急反発して23.5%上昇した。通信サービス株も第2・四半期に反発した。
LSEGのデータを見ると、ハイテク株は第2・四半期に前年同期比17.7%、通信サービス株は同31.8%それぞれ増益が見込まれており、最も大きく利益を伸ばすセクターとなる見通しだ。
人工知能(AI)への期待も相変わらず高い。AI用半導体設計の代表的企業であるエヌビディアの時価総額は一時的に4兆ドルを突破した世界初の企業となった。
ダコタ・ウェルスのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、ロバート・パブリク氏は「ビッグネーム、つまり巨大企業が大きく期待を裏切らないことが必要だ」と述べた。
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