- 2025/08/29 掲載
マクロスコープ:オルツ粉飾巡り株主約90人が損賠請求準備 代理人弁護士に聞く
[東京 29日 ロイター] - 東京証券取引所は31日付で、人工知能(AI)関連の新興企業、オルツ株を上場廃止にする。大規模な粉飾決算が判明し、上場からわずか1年足らずでの「退場」となる。株価の急落により損害を被った投資家も多く、個人株主の代理人を務める山崎・丸の内法律事務所の山崎大樹弁護士は、ロイターの取材に応じ「約90人の株主が、オルツ社に対して損害賠償請求を行う予定だ」と明らかにした。一問一答は次の通り。
――株主からの問い合わせ状況は。
オルツが民事再生法の適用を申請したため、債権者は9月3日までに自身が保有する再生債権(損害賠償債権)を裁判所に届け出しなくてはならない。期日を過ぎると請求権を失うため、急ピッチで個人株主の意向を取りまとめている。問い合わせはすでに約330件に上り、最終的に90人程度が被った損害を債権として届け出る予定だ。1人当たりの損失額は最大で2000万円程度で、請求総額は約4億円に達するとみている。
――今後の手続きの見通しは。
目先の焦点は、オルツが再生債権を認めるか否かだ。全額を認めれば、再生計画に基づき、会社資産などから一定割合が債権者に支払われる。否認した場合は裁判所に債権査定を申し立て、その後は金融商品取引法に基づく証券訴訟に発展する可能性が高い。
もっとも民再法の申請により(再生計画は債権の大幅な減額が前提となるため)、債権が裁判で認められても、オルツからの回収見込みが低くなったことは事実だ。再生計画が認められず倒産手続きに入った場合、株主の請求権が消えるわけではないが、一般的には回収の見通しは低くなる。このため、訴訟コストとの兼ね合いから債権の届出を断念する人もいる。
――監査法人や主幹事証券の責任も問うのか。
基本的には、法人としてのオルツを相手取る考えだ。ただ、会社の資産が乏しく回収が難しい場合には、不正に関与した経営陣や監査法人のシドーを加える可能性がある。2010年に粉飾決算が発覚した半導体装置メーカーのエフオーアイをめぐる株主訴訟では、監査法人の責任も問われた。
主幹事の大和証券に対しては、IPO(新規株式公開)時に株式を購入した投資家であれば訴えることができる。ただ依頼者の多くはIPO後に購入しており、現時点では、訴訟を起こすのは難しい。東証や上場審査を担う日本取引所自主規制法人の責任を問うことも、法律上の明確な根拠がなく現実的には困難だろう。
――日本の株主救済制度の課題は。
米国では不正が発覚すると株主集団訴訟(クラスアクション)が直ちに起こるため、企業への強い抑止力が働いている。一方、日本ではクラスアクションを証券訴訟に使えず、専門の弁護士事務所も限られており、株主が救済を求める道は極めて狭い。今回のオルツ事件は、市場の信頼性を揺るがすものであり、関係者の責任は厳しく問われるべきだ。
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