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- 2025/10/17 掲載
PC 4億台超がゴミに…Windows 10サポート終了の裏にある、マイクロソフト「真の狙い」
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
Windows 11に移行できないWindows 10 PC「4億台超」
Windows 11は、基本的にWindows 10と同じカーネルを基盤に構築されており、カーネル部分はほとんど変更されていない。このため、ユーザーインターフェース(UI)が大きく変わったにもかかわらず、Windows 10で動作していた多くのアプリケーションやハードウェアはWindows 11でもそのまま動作し、高い互換性が維持されている。UIを除く大きな変更点としては、メモリやストレージ、グラフィックスカードなどのシステム要件がいくぶん厳格化されている。とはいえWindows 10のPCにおいてアップグレードを考えるユーザーの多くは、メモリやストレージ、グラフィックスカードやディスプレイだけを見るならば、Windows 11への移行はほぼ問題ないはずだ。
しかし実際には、多数のユーザーが要件面で重大な壁を越えることができない。
最大の理由は、Windows 11においてデバイスの暗号化の回復キーを管理するなど、認証セキュリティ関連の機能を提供するマイクロチップのTPM 2.0が、マザーボードに搭載されている必要があるからだ。
インテルのCPUを例に挙げるならば、最低でも2017年製造の第8世代が搭載されている必要がある。しかも、第8世代でさえ要件を満たさない製品があり、すべてのCPUが完全にWindows 11にアップグレードできるのは、2021年製造の第11世代からとなる。
この敷居の高さから、一説によれば4億台以上のWindows 10のPCがセキュリティアップデートを受けられない、リスクの高い状態に置かれることになる。
そもそもTPM 2.0は、顔や指紋によるユーザー認証のWindows Helloを機能させ、ディスク暗号化のBitLockerの回復キーを収納するなど、デバイスのセキュリティを高めるために導入されたものだ。しかし、それを欠くために4億台以上のWindows 10のPCがWindows 11に移行できず、セキュリティ上のリスクにさらされるのは、一見矛盾している。
なぜマイクロソフトは、4億台以上のWindows 10のPCをサポートが受けられない状態に放置してまで、Windows 11のシステム要件を高める必要があったのだろうか。 【次ページ】アップグレード対象外4億台超の裏にある「マイクロソフトの狙い」
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