- 2025/10/23 掲載
ノルウェー政府系ファンド、投資先企業に温室効果ガス実質ゼロ要求を維持
[オスロ 22日 ロイター] - 運用額が政府系ファンドで最高額の2兆ドル規模のノルウェー政府系ファンドは22日、投資先企業に対して2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするように要求を続けると発表した。トランプ米大統領が気候変動対策に反対する動きを強める中でも、投資先の計8500社に気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」の目標に沿わせるとした2022年の方針を維持した。
発表した計画では、気候変動に関する企業のロビー活動への監視を強化するとともに、ファンドの取り組み方針に同意しない企業の取締役会メンバーには反対票を投じる可能性があると説明。さらに脱炭素化について独自の株主提案を実施する可能性も示唆した。
ファンドは「気候変動のリスクは金融リスクだ」とし、「従って基金は世界の温室効果ガス排出量実質ゼロへの秩序ある移行に関心を持っている」とコメントした。
一方、トランプ政権は化石燃料を増産し、気候変動政策を後退させるとともに、パリ協定からの再離脱を表明するなど世界的な脱炭素化の流れに逆行している。
ノルウェー政府系ファンドは石油・ガスの産出による収入を運用し、運用額のうち約半分に当たる約1兆ドルを米国の債券や株式、不動産などに投資している。
ファンドのニコライ・タンゲン最高経営責任者(CEO)はロイターに、米国から反発を受ける可能性などについて中央銀行の理事会と協議したと明らかにした。その上で、投資するのは「私たちの資金であり、私たちが適切だと考える方法で投資を保護しなければならない」ことから計画を実行すると表明した。
オーストラリア企業責任センター(ACCR)のブリン・オブライエン事務局長は「気候変動に関連した企業政策提言への監視強化を基金が約束したことは新味があり、非常に歓迎すべきだ。取締役会への反対票をけん制手段として明示した点もしかりだ」と評価した。
一方、ノルディック持続可能金融センターのプログラム共同責任者、ディエゴ・フォス氏はロイターに「ファンドの真価は、期待に応じようとしない企業への対応で問われる。残念ながら今回の計画には、転換を依然拒んでいる企業に影響を与えるための戦略がほぼ皆無だ」と指摘した。
これに対しファンドの企業統治・法令順守責任者のカリーヌ・スミス・イヘナチョ氏は「公約が私たちの主要な手段だ。売却では排出量を削減できない」と反論している。
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