• 2025/11/28 掲載

日本政府、「人型AIロボット」開発を推進 米中との国際競争をにらむ

2030年までに汎用人型AIロボットのプロトタイプ作成

ビジネス+IT

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日本政府が2030年までに「人にできることは何でもこなせる」汎用人型ロボットの開発を目指す案を浮上させた。少子高齢化や労働力不足を背景に、米国・中国を中心とした熾烈な国際競争に日本も本格参入する構えだ。産学連携の強化や国家戦略の再構築が焦点となる。
日本政府は2025年秋、2030年までに汎用人型ロボット(ヒューマノイドロボット)の開発を進める構想を検討していることが報道された。複数の報道によれば、単なる作業補助や限定用途のロボットではなく、人が通常行なうような多様な状況で「人にできることは何でもこなせる」ような汎用性を持つロボットを想定しており、国家としてその実現を目指す案が政府内で浮上している。

この背景には、少子高齢化による労働力不足や、介護・医療・農業など人手不足が深刻な分野での業務負担の増大がある。政府が策定を進める「AI基本計画」では、AI搭載ロボットによる介護での入浴・移動補助、医療での診察・手術補助、農業分野での土壌解析や遠隔操作といった用途が念頭に置かれており、汎用ロボットの開発はこうした人手不足解消・生産性向上の一翼を担うとされている。

ただし、国際競争という視点では、日本は過去に産業用ロボットや特化型サービスロボットで高い技術力を持ちながら、汎用ヒューマノイド分野では出遅れているとの指摘が強い。昨今、米国では Tesla や Figure AI などが、また中国では複数企業が国家戦略の下、人型ロボットの量産と実用化に向けて大規模な投資を進めており、2025年は人型ロボット「量産元年」とされる。

このような世界の潮流を受け、日本国内でも産学連携によるヒューマノイド開発の動きが進んでいる。2025年7月に、 KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)が設立され、部品の精密製造を担う企業と大学・ロボットメーカーが協力し、純国産ロボットの開発に乗り出した。 また、東京大学発のベンチャー企業 Highlanders は独自のヒューマノイドロボット「HL Human」のプロトタイプを公開している。

一方で、日本が抱える課題も明らかになっている。過去の日本のロボット開発は部品・ハードウェアには強みがあったものの、AIのソフトウェア統合力やシステム全体の設計力、商業展開力では米中に後れを取ってきたとの分析がある。汎用ヒューマノイドを実用化するには、部品だけでなく、AI、制御、ソフト統合、量産体制、資金力、実装力など総合力が問われる。

なか、政府の構想は単なる技術研究にとどまらず、社会実装と国際競争力確保を見据えた国家戦略の一環と位置づけられている。だが、2030年という比較的近い期間での実現を目指すためには、技術開発、産学官連携、資金投入、産業構造の変革など多くのハードルを越える必要がある。

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