- 2025/12/01 掲載
百貨店11月売上高、日中悪化の影響限定的 「協調精神」で打開期待も
Kentaro Okasaka Nobuhiro Kubo
[東京 1日 ロイター] - 百貨店各社が1日に発表した11月の売上速報によると、後半に免税売上高が失速したエイチ・ツー・オー リテイリングを除いて日中関係悪化による影響は一部に限られた。それでも各社とも先行きを注視しており、都内でこの日開かれたイベントに出席した日本百貨店協会の好本達也会長は、日中間の「協調精神」に基づく事態の打開に期待を寄せた。
エイチ・ツー・オーは、外国人観光客の免税売上高が月後半に前年比約2割減少した。日中関係の緊張の高まりを理由の一つに挙げた。中国客の売上高は前半が好調だったことから11月全体では前年を上回ったものの、日本円に対して安く推移した通貨もあり、全体の免税売上高は前年に届かなかった。
松屋は免税売上高が同15%ほど減少したが、インバウンド需要が大きく拡大した前年の反動が要因。現段階で大きな影響はないものの、年末年始や春節など今後を注視するという。
高島屋は中国客の免税売上高が同2.7%減少。免税売上高全体が同3.1%減だったことを考えると、日中関係の影響は大きく出ていないとみている。「減便の影響など今後の動向を注意深くみていく」(広報)とした。
三越伊勢丹ホールディングスも、「想定していたより影響は出ていない」(広報)と説明。今後の動きを見守るとした。
J.フロント リテイリングの免税売上高は同13.6%増。客数、客単価とも前年を上回った。
国内客も含めた全体の売上高は松屋が2.2%減少した以外、各社とも前年を上回った。エイチ・ツー・オーは同3.6%増、高島屋は同3.5%増、Jフロントは同4.2%増だった。三越伊勢丹HDは三越伊勢丹が同1.4%増、国内百貨店合計が同0.6%増だった。
<「訪日客への親切・丁寧な対応が大切」の声も>
日本百貨店協会の好本会長は1日、都内で開かれた討論会で「過去にもこういう時期はあったと思うが、そのたびに時間のかかり方は違うものの平和であること、友好的であること、協調精神を持つことで解決してきたと思う」と指摘。「やはりどこかの時点でそういう視点からの取り組みが始まっていかないとなかなか前に進んでいかないし、そういう雰囲気が出てくることを強く望む」と語った。
*写真を追加して再送します。
日本観光振興協会の最明仁理事長は、訪日外国人の多い地域の関係者と意見交換したといい「何度もこういったことで振り回されてきていることもあり『またか』というのが正直なところ。もともと振れ幅の大きいマーケットに依存しないように努力してきたので、今回も足元をしっかり固めていく、というのが大半の意見だった」と話した。「せっかく来ていただいた方に親切、丁寧に対応し、嫌な思いをせずに帰っていただくことが一番の“安全保証”だ」とも述べた。
ジャパンショッピングツーリズム協会の新津研一代表理事は「中国に限らず、観光産業はこれまで何度も何かトピックスがあって客数が急増したり減ることもあったので、一本足でどこかに重点を置くのはリスクが高いとみんな学んだ」と説明。また、新型コロナウイルス禍を経て、どれだけキャッシュフローを準備すべきか、リスクにどう対応すべきかを学んできたため「これまでのインパクトよりは許容度がかなり高まっている」と語った。
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