- 2025/12/02 掲載
賃上げ確認で利上げ決断へ=総裁が「予告」の見方―日銀12月会合
日銀は18、19日に開く金融政策決定会合で、政策金利引き上げの是非を議論する。米関税政策を巡る不透明感が後退する中、来年の春闘に向けた賃上げの勢いが確認できれば、同会合で利上げを決断する意向だ。
「利上げの是非について、適切に判断したい」。日銀の植田和男総裁は1日午前の講演で、12月会合で利上げが議題となると明言し、金融市場では「利上げ予告」との見方が台頭した。
植田総裁は午後の記者会見でも、利上げが遅れると「米欧で経験したように高いインフレ率になり、混乱を引き起こしてしまう」と言及。発言を受け、長期金利は17年半ぶりの高水準に上昇(債券価格は下落)した。
利上げには、積極財政・金融緩和を志向する高市政権の了解を得られるかがカギとなる。高市早苗首相は以前、政府が金融政策にも責任を持つべきだと主張していたが、最近では日銀に対して表立った「口先介入」は控えている。
日銀が利上げを見送ってさらに円安が進めば、食料などの輸入品が値上がりし、政府の重要課題である物価高対策に逆行しかねない。植田総裁は先月、首相官邸で行った首相との初会談に関し、「さまざまな論点について率直にいい話ができた」と説明した。
植田総裁の発言後、木原稔官房長官は会見で「日銀には引き続き政府と密接に連携を図り、適切な金融政策運営を行うことを期待している」と、明確なけん制は避けた。
「現在、本支店を通じ、企業の賃上げスタンスに関して広く情報収集を行っている」。植田総裁は来年1月に開かれる冬の支店長会議で、各地から賃上げに関する報告を受ける前でも、情勢分析は可能だと指摘。年内最後の12月会合で、利上げの是非を判断する考えを示した。
【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する日銀の植田和男総裁=1日午後、名古屋市中区
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