- 2025/12/07 掲載
広がるか、「ボーナスの給与化」=高給アピール、業績悪化時に課題も―大手企業
業績に連動する賞与(ボーナス)を減らし、その分を毎月の給与に振り替える企業が増えている。月給の高額化と安定支給をアピールし、優秀な人材を確保する狙い。ただ、業績悪化時でも給与は下げづらいなどの側面もあり、さらに広がるかは見通せない。
来年4月から基本給を平均約10%引き上げるゲーム大手セガ(東京)。このうち4%は基本給の底上げ(ベア)などだが、6%は賞与の一部振り替えだ。これにより大卒初任給は月30万円から33万円と、業界最高水準になるという。2023年改定時には、退職金も月給引き上げの原資にできるようにした。転職などを見据え、退職金を先行して受け取れる利点がある。
ソニーグループ(G)は26年度から、本体に続き事業会社ソニー(東京)と半導体子会社を対象に冬の賞与を廃止して月給と夏の賞与に振り分ける。「月給ベースで求職者に競争力のあるオファーを出す」(広報)のが狙いだ。
バンダイ(東京)も22年度に夏と冬の賞与を夏に一本化した上、一部を月給に振り分けた。ソニーGとバンダイはいずれも、業績や個人の評価がより給与に反映される仕組みとし、平均年収も増えているという。
一方、大手メーカーの労務担当者は、「職能や役職に加え、年功序列が絡んだ複雑な給与制度を再設計するのは困難」として、「費用対効果」が見合わないと指摘する。自動車業界の労組幹部も、「一時的に大幅賃上げしたように見えるが、重要なのは継続的な賃上げ」と否定的だ。
企業経営に詳しいコンサルタントの日沖健さんは、「賞与の給与化は、新卒採用強化や従業員の生活安定という面ではメリット」と強調。その上で、「旧来の報酬制度にそのまま導入すると、業績変動に対応しにくく、優秀な従業員のやる気をそぐなどのリスクがある。個人の能力に応じた成果主義の報酬制度を採用しようという企業なら、導入する価値があるのではないか」と話している。
【時事通信社】
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