- 2025/12/09 掲載
マグナム・アイスの甘くない上場、時価総額は予想下回る
[ロンドン 8日 ロイター] - 英日用品大手ユニリーバから分離された高級アイスクリームのザ・マグナム・アイスクリーム・カンパニーが8日にユーロネクスト・アムステルダム証券取引所に上場し、時価総額は約78億ユーロ(約91億ドル)とアナリストらの市場予想を下回った。消費者の健康志向が高まる中で、糖分が多いマグナムの製品が成功するのかどうかに一部の投資家が懐疑的になっていることが背景にある。
マグナムが新規株式公開(IPO)目論見書を公表する前に、バークリーのアナリストらはマグナムの時価総額が101億―108億ユーロ、株価は1株当たり20ユーロ超になると予測していた。
上場初日の8日はインデックスファンドによる売りに押され、株価は1株当たり12.8ユーロ程度でおおむね推移。調査会社モーニングスターによると、マグナムの株価は低迷した初値からやや回復し、5日に設定された基準価格をわずかに上回って取引を終えた。この基準価格は、2025年の調整後の利払い・税・償却前利益(EBITDA)予想の約8倍に相当する。
投資銀行デグルーフ・ピーターカムのレポートは需要低迷が基準価格に影響を与えた可能性があるとし、ユニリーバからの分離に多額の費用がかかることや、26年には無配となることが、株価の短期的な圧力となっている可能性があると指摘。デグルーフは、マグナムの事業価値(EV)をEBITDAの何年分に相当するかを示す主要指標EV/EBITDAレシオが8倍となり、平均13.6倍で取引されている菓子大手のネスレ、ハーシー、モンデリーズなどの競合他社より41%安いと言及した。
デグルーフのフェルナン・ド・ボア氏は「基準価格を低く設定したことで、新規投資家にとって魅力的な株価となった」と話し、このことが上場初日の株価下落を回避するのに寄与した可能性があるとの見方を示した。
ユニリーバの株主であるオベロン・インベストメンツの投資ディレクター、ジャック・マーティン氏はロイターに対して「人々はより健康的な生活様式に焦点を当てているとの見方がある」とし、「不健康な食品は医療制度に負担をかけるため、規制上の逆風がある。(肥満症治療に用いられる)GLP―1受容体作動薬も逆風になり得る」との見方を示した。
上場記念式典で、テニスラケットほどの大きさがあるマグナムのアイスクリームのレプリカを掲げたマグナムのピーター・テル・クルベ最高経営責任者(CEO)は、独立した上場企業として「これまでよりも機敏で、より集中し、より野心的になる」と訴えた。
マグナムは年間約870億ドルのアイスクリーム世界市場で約21%のシェアを占めており、競合するフロネリの約11%を上回っている。
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