- 2025/12/19 掲載
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<決定は全会一致>
われわれは良い位置につけていることを再確認した。ただ、それは停滞しているという意味ではない。今回の理事会で決定した金利据え置きは全会一致だった。あらゆる選択肢を排除せず、会合ごとに経済指標に基づいて判断し、特定の金利の道筋もいかなる動きの実施時期も決めないという点でも、全会一致の見解だった。
<フォワードガイダンスはない>
地政学リスク、過剰生産能力を抱える国との貿易を巡る動き、欧州との国境での動静を含め、われわれは不確実性というものに細心の注意を払っている。多くの人がフォワードガイダンスを求めていることは承知しているが、現在直面している不確実性の大きさを踏まえると、現時点でガイダンスを示すことはできない。
<インフレの上振れ・下振れリスク>
国際情勢が依然として不安定なため、インフレ見通しを巡る不確実性は引き続き高まっている。米国による関税引き上げでユーロ圏の輸出需要が押し下げられたり、過剰生産能力を抱える国がユーロ圏に対する輸出を増やしたりすれば、インフレ率は予想を下回る可能性がある。外国為替市場でユーロ高が進めば物価押し下げの要因になる可能性もある。金融市場でボラティリティが高まりリスク回避姿勢が強まれば、需要が冷え込み、インフレ低下につながるかもしれない。
一方、世界的な供給網の分断が進めば、輸入価格が上昇し、重要原材料の供給が制約され、ユーロ圏の生産能力が圧迫され、インフレ率が上振れる可能性がある。賃金圧力の減速が遅れれば、サービス部門のインフレの低下ペースが鈍るかもしれない。防衛・インフラ投資が増加すれば、中期的にはインフレが押し上げられる可能性もある。
<政策判断の根拠>
金利を巡る決定は、インフレ見通しとそれを取り巻くリスクの評価に基づいて行う。その際、最新の経済・金融データ、基調的なインフレ動向、金融政策の波及メカニズムの強さも踏まえて判断する。
インフレ率が中期目標に持続的に安定するようにし、金融政策の伝達が確実に円滑に機能するようにするため、必要に応じてあらゆる手段をECBに与えられた権限内で調整する用意がある。
<世界貿易と経済見通し>
貿易摩擦は緩和したものの、国際情勢が不安定になっていることで供給網が混乱し、輸出が抑制され、個人消費や投資が下押しされる可能性がある。世界の金融市場で市場心理が悪化すれば、リスク回避姿勢が強まり、経済成長が弱まる恐れもある。
ロシアによるウクライナ侵攻を含む地政学的な緊張は、不確実性が高まる大きな要因になっている。一方、防衛・インフラ投資計画のほか、生産性向上のための改革が進めば、経済成長が予想以上に押し上げられる可能性もある。
<インフレ見通し>
インフレ率は短期的には低下すると予想されている。これは主に前年比ベースでの過去のエネルギー価格上昇の影響が薄れるためだ。ECBの最新のスタッフ予測では、2026年と27年の平均インフレ率は2%を下回るとの予想が示された。
<基調インフレ>
基調的なインフレはここ数カ月はほとんど変化しておらず、2%とする中期的な目標と整合的な状態が続いている。
<経済は底堅い>
(ユーロ圏)経済は底堅さを示している。主に消費と投資が持ち直したことで、第3・四半期の経済成長率は0.3%だった。
<貿易が成長の重し>
世界貿易を取り巻く環境が厳しいことが、今年と来年のユーロ圏経済の押し下げ要因になる可能性がある。
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