- 2025/12/19 掲載
長期金利が26年ぶり水準に上昇、日銀利上げ継続観測で 2%は「通過点」
[東京 19日 ロイター] - 日本の長期金利(新発10年国債利回り)が19日、1999年8月以来、26年ぶりとなる2.020%をつけた。日銀が金融政策決定会合で政策金利の0.75%への引き上げを決め、金利上昇に弾みがついた。追加利上げは市場の予想通りだったが、19日午後の日本国債市場ではさらなる利上げ継続が意識されて売りが膨らんだ(金利は上昇)。市場では長期金利の2%は通過点に過ぎず、さらなる上昇を見込む向きが多い。
りそなホールディングス市場企画部の佐藤芳郎エコノミストは、日銀がきょう発表した声明文で「実質金利はきわめて低い水準にある」との文言が維持されたことに着目し、「声明文はすごくタカ派的な印象」だと話す。市場が1.5%のターミナルレート(利上げの到達点)予想を織り込む中、同レートが一段と上振れる可能性が生じ、中長期ゾーンに金利上昇圧力がかかったと指摘した。
政策金利の0.75%は、1995年以来30年ぶりの高い水準となる。ただ東短リサーチ/東短ICAPによると、翌日物金利スワップ(OIS)市場が事前に織り込んでいた今回の日銀会合での利上げ確率は97%で、追加利上げは確実視されていた。市場の関心は、その先の利上げ継続が示唆されるかに集まっていた。
ターミナルレートの代替として参照される「2年先1カ月」のフォワード金利は足元で1.5%前後まで上昇するなど、市場では向こう2年間で1.5%までの追加利上げの織り込みは相応に進んでいる。
19日夕方の日銀総裁会見では、注目された中立金利の推計や政策金利との距離感について植田和男総裁から明確な説明はなく、「ハト派的だった」との受け止めから、国債先物は夜間取引で買われ、金利上昇にも一服感が出た。
このため、来週の長期金利は2%の定着をうかがう展開となりやすい。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「短期的には2.1%、2.2%とスピード感をもって上昇するとはみていないが、2%は割安だから買いだとか、売られ過ぎだとか捉える人も少ないだろう」として、長期金利は目先は2%程度で推移すると予想する。
<26年末には2%半ばから後半に上昇も>
ただ長谷川氏も含め、中長期的には、今後も円金利には上昇圧力がかるとの見方が多く、長期金利2%には「心理的節目という以外に大きな意味はない」(外資系運用会社債券運用部長)との声が聞かれる。
SMBC日興証券の金利・為替ストラテジスト、丸山凜途氏は「日銀が動きづらくなることによるビハインド・ザ・カーブリスクを織り込む可能性があり、円金利には中期ゾーンを中心に上昇圧力がかかりやすい」との見方を示す。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「財政不安は解決していない」として、早ければ来週後半にも、26年度の当初予算や国債発行計画を材料に国債売りが再び広がる可能性があると指摘。中長期的には円金利が上昇するシナリオを描き、長期金利は来年末には2%台半ばか後半に上昇するとみている。
(植竹知子、坂口茉莉子 編集:平田紀之、石田仁志)
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