- 2025/12/23 掲載
NY市場サマリー(22日)日本当局者発言で円上昇 株・金利上昇 地政学懸念で原油上昇・金最高値
終盤の取引でドル/円JPY=は0.5%安の156.94円。一時は156.71円まで下落した。
日銀は18─19日に開いた金融政策決定会合で政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%に引き上げると決定。利上げは1月以来で、政策金利は1995年9月以来、30年ぶりの高水準となった。ただ、植田和男総裁が今後の利上げの具体的な時期やペースについて明言を避けたことが円の下落につながっていた。
こうした中、片山さつき財務相は19日、為替相場について「一方向で急激な動きがこの半日、この数時間明らかにあるので憂慮している」とし、行き過ぎた動きには適切に対応する考えを強調。この日は三村財務官が「一方向で急激な動きが見られるので、憂慮している」とした上で「行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取りたい」と述べた。 木原稔官房長官もこの日の会見で、為替相場について、一方向かつ急激な動きもみられ憂慮しているとし、行き過ぎた動きには適切に対応するとの従来の見解を示した。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は、日銀が利上げを決定する前に政府・日銀が為替介入を実施する可能性は低かったとした上で、利上げ決定後のこうした一連の「口先介入」は「理にかなっている」と指摘。「日銀が利上げしたことで、金融政策は引き締め方向に動いており、円相場はファンダメンタルズから乖離していると言えるようになった。その結果、円のショートカバーが多少入っている」と述べた。
マネックスUSA(ワシントン)のトレーディング部門ディレクター、フアン・ペレス氏は「日銀の利上げは市場に大きく織り込まれていたほか、ファンダメンタルズの改善が確認されない限り、追加的な利上げは行われない可能性がある」とし、「全体的に見れば、円安は日銀の利上げ以外の要因によるものだった」と指摘。「今は為替介入の可能性を注視する必要がある」としながらも、「これまでの為替介入では費用がかさむ一方、得られた効果は限定的だった」とも指摘した。主要6通貨に対するドル指数は0.4%安の98.3。
ユーロ/ドルは0.4%高の1.1753ドル。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが上昇した。市場は年末を控え、様子見ムードが広がっている。
10年債利回りは1.8ベーシスポイント(bp)上昇の4.168%。2年債利回りは2.5bp上昇の3.510%。
2年債と10年債の利回り格差は65.9bp。
30年債利回りは2bp上昇の4.8415%となった。
米シカゴ地区連銀の全米活動指数公表後も、利回りはほぼ横ばいで推移した。
インフレ期待指標として注目されるドル建て5年先5年物フォワード・スワップは2.46%だった。
供給面では、財務省が実施した690億ドルの2年債入札は需要が低調で、応札倍率は2.54倍と、過去10回の入札平均の2.60倍を下回った。最高落札利回りは3.499%。
財務省は23日には700億ドルの5年債入札、24日には440億ドルの7年債入札を実施する。
BMOの金利ストラテジストはメモで「国債のボラティリティーが継続的に低下していることは、入札への確信を高める好材料であり、経済指標カレンダーに短期的なイベントリスクがないことも同様だ」と述べた。
CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む米連邦準備理事会(FRB)が来年1月下旬に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを行う確率は20%弱にとどまっている。
今週の債券市場は、24日は東部標準時午後2時(日本時間25日午前4時)までの短縮取引、25日のクリスマスは休場となる。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 上昇して取引を終えた。テクノロジー株の反発が続いたほか、幅広い銘柄が買われ、S&P総合500種の主要11セクターがほぼ全て上昇する展開となった。
テクノロジー株の反発は先週、半導体大手マイクロン・テクノロジーの好調な業績見通しや、予想を下回るインフレ指標を受けて始まり、S&P500とダウ工業株30種は12月11日に記録した終値の最高値まで1%未満の水準に迫っている。
この日はエヌビディアが上昇し、S&P500を押し上げた。人工知能(AI)向け先端半導体「H200」について、中国の顧客に対し来年2月の春節(旧正月)連休前に出荷を開始することを目指していると、ロイターが報じた。
マイクロンや他の半導体メーカーの株価も総じて上昇した。
スレートストーン・ウェルスのパートナー兼チーフ市場ストラテジスト、ケン・ポルカリ氏は「必ずしもこれ以上大きく上昇するとは考えていない。相場は引き続きもみ合うだろう。今日は上昇して取引されているが、再び下落しても驚かない。その後、現在の水準まで再び持ち直すような展開になるだろう」と語った。
S&Pの主要11セクターでは素材(1.4%高)やエネルギー(1.1%高)が商品価格高を背景に上げが目立った。情報技術は0.4%高。金融は1.3%上昇して過去最高値で取引を終えた。
電気自動車(EV)メーカー、テスラは1.6%上昇。同社が2018年に承認したイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の巨額報酬パッケージについて、デラウェア州の最高裁は19日、報酬案を無効とした下級審の判断を覆した。
メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)は3.5%上昇。同業パラマウント・スカイダンスによるWBD買収提案を巡り、オラクル共同創業者兼会長で富豪のラリー・エリソン氏が404億ドルの個人保証を提供することが22日に当局に提出された文書から明らかになった。パラマウントは4.3%上昇した。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.15対1の比率で上回った。ナスダックでも1.61対1で値上がり銘柄が多かった。
米取引所の合算出来高は145億7000万株。直近20営業日の平均は169億株。
取引量は少なく、クリスマス休暇が近づくにつれてさらに減少する可能性が高い。米国株式市場は24日は短縮取引となり、25日のクリスマスは休場する。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米国とベネズエラの緊張が高まる中で安全資産としての金が買われ、大幅続伸。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は中心限月ベースで最高値を更新した。
ノーム米国土安全保障長官は20日、米沿岸警備隊が南米ベネズエラ沖の公海上で石油タンカーを拿捕(だほ)したと発表。米国とベネズエラ間の緊張がさらに高まったことで、安全資産としての金が買われる展開となった。モスクワ南部で自動車が爆発し、ロシア軍中将が死亡。ウクライナ侵攻を続けるロシアでは軍高官の暗殺が相次いでいる上、ウクライナ和平を巡る各国間の協議に具体的な進展が見られないことで、地政学的リスクの高まりが意識され、金の買いにつながったとの見方もあった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ベネズエラやロシアの原油供給を巡る懸念を背景に買われ、上伸した。
米国がベネズエラに対する軍事的圧力を一層強化し緊張が高まる中、ベネズエラ産原油の供給混乱への警戒感から相場は買いが先行した。
ウクライナ情勢も引き続き注視されている。石油の生産・輸出施設が多数集まるロシア南部クラスノダール地方にある黒海沿岸の村で、ウクライナのドローン(無人機)による攻撃があった。これを受け、ロシア産原油の供給懸念も浮上し、相場を支援した。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 157.05/157.
08
始値 157.41
高値 157.43
安値 156.71
ユーロ/ドル NY終値 1.1760/1.17
61
始値 1.1733
高値 1.1769
安値 1.1734
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 96*21.0 4.8374%
0
前営業日終値 96*25.5 4.8280%
0
10年債(指標銘柄) 17時03分 98*21.5 4.1647%
0
前営業日終値 98*25.0 4.1510%
0
5年債(指標銘柄) 17時04分 99*01.5 3.7127%
0
前営業日終値 99*04.0 3.6950%
0
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.1 3.5067%
3
前営業日終値 99*25.3 3.4850%
8
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 48362.68 +227.79 +0.47
前営業日終値 48134.89
ナスダック総合 23428.83 +121.21 +0.52
前営業日終値 23307.62
S&P総合500種 6878.49 +43.99 +0.64
前営業日終値 6834.50
COMEX金 2月限 4469.4 +82.1
前営業日終値 4387.3
COMEX銀 3月限 6856.5 +107.6
前営業日終値 6748.9
北海ブレント 2月限 62.07 +1.60
前営業日終値 60.47
米WTI先物 2月限 58.01 +1.49
前営業日終値 56.52
CRB商品指数 298.6896 +3.5859
前営業日終値 295.1037
最新ニュースのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR