- 2026/04/03 掲載
焦点:米ノンバンク融資、貸出先が債務不履行の恐れ ソフト業界不振で
[2日 ロイター] - 米国のプライベートクレジット(ノンバンク融資)業界は今後、借り手のデフォルト(債務不履行)が増加する局面に入る可能性が高いと、複数の証券会社が警告している。この数年、米金融業界で最も人気の投資戦略の一つとされてきたプライベートクレジット取引に、ひびが入り始めているのだ。
プライベートクレジット業界の足元での緊張が金融システム全体を揺るがすような危機につながる可能性は低い。とはいえアナリストは、プライベートクレジットは主な融資先であるソフトウエア業界が人工知能(AI)の台頭で揺さぶられているため、成長ペースが鈍化するとみている。
2日には、米投資会社ブルー・アウルが、運営する個人投資家向けプライベートクレジット・ファンドで解約に上限を設け、同社株は一時8.6%下落して過去最安値を更新した。アポロ・グローバルやブラックストーンなど、他のオルタナティブ資産運用大手の株も一時、連れ安となった。
ロイターの試算によると、これらの投資運用大手の時価総額は年初来で計1320億ドルが吹き飛んだ。
<ソフトウエア業界が新たなリスク>
プライベートクレジットは、上場社債より価格変動が少ない投資手段として販売されてきた。世界金融危機後に銀行が高リスク融資から撤退したことから急速に拡大。近年は分散投資ニーズの高まりを受け、ファンド運営会社が個人投資家層に資金調達の対象を広げたことも成長を後押しした。
モルガン・スタンレーによると、プライベートクレジットは米国のレバレッジドファイナンス(低格付け企業向け投融資)に占める割合が2025年時点で約30%に達し、10年前の13%から大幅に上昇した。
しかし、米自動車部品メーカーのファースト・ブランズの破綻をきっかけに、この数カ月で信用の質に対する懸念が浮上。さらに、AIによる事業構造の変化への懸念を背景にソフトウエア企業の評価額が下落し、プライベートクレジットの投資先が特定セクターに集中している脆弱性が露呈された。
バークレイズのアナリストは「多くのプライベートクレジット・ファンドは、特にソフトウエア分野など少数のセクターに極度に集中している。ソフトウエア企業が時代遅れとなるリスクが高まれば、債務不履行の確率も上昇する」と指摘した。
モルガン・スタンレーによると、プライベートクレジットはソフトウエア企業の経営悪化が主な打撃となり、年間の債務不履行率が26年後半から27年前半にかけて8%に達すると予想されている。
<システミックリスクか一時的混乱か>
プライベートクレジット・ファンドで解約制限が相次いで導入されたことで、こうした投資商品に対する監視が強化され、資産評価の妥当性や情報開示の透明性、流動性リスクといった課題が改めて浮き彫りになりそうだ。
一方、金融システム全体へのリスク波及を懸念する声もあるが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は今週初め、現時点で金融システム全体を脅かす兆候は見られないと述べた。
モルガン・スタンレーのアナリストも「システミックリスクは依然として低く、銀行には影響がほとんど及んでいない。機関投資家からの需要も安定するとみられる」と分析している。
しかし、資産評価への下押し圧力は長引く可能性がある。モーニングスターによると、同社が追跡している伝統的およびオルタナティブな資産運用会社の多くは適正価値を下回って取引されており、中には最大15%のディスカウントとなっているケースもあるという。
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