- 2020/12/25 掲載
20年はパソコン「ルネサンス」、22年まで品薄感続く
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中の在宅学習・勤務を背景に、パソコン市場が好調だった。スマートフォンの販売が減る一方、過去10年間は携帯電話より劣勢だった大型機器の需要が増えた。
台湾のパソコン大手、エイサーのプレンダーガスト全米社長は「供給網全体がこれまでにないほど逼迫している」と話す。
ノートパソコンとデスクトップの総称であるパソコンの世界年間出荷台数は、08年に約3億台に達していた。しかし、最近では2億5000万台にまで落ち込み、市場の復活を見込む向きは少なかった。
ここにきて一部のアナリストは、20年の出荷台数が前年より約15%増の約3億台になると予想している。タブレット型端末はさらに急速に成長している。
調査会社カナリスによると、21年末までに設置済みのパソコンとタブレットは計17億7000万台に達し、19年の16億4000万台から増加する見通し。新型コロナの危機により、これまで1台のパソコンを共有していた家庭は、学生やビデオゲーマー、在宅勤務者が1台ずつ持つようになった。
突然の需要増加を満たすために、世界の一部の大手パソコンメーカーは供給業者を追加したり、出荷を急いだりした。来年により良いモデルを発売することも垣間見せた。ただそれでも需要に追い付いていない。
プレンダーガスト氏によると、エイサーはノートパソコンを教育機関の顧客に直接納品するためのコストを吸収し、船や列車で出荷するより納品期間を1カ月短くしている。それでも組み立てが遅れているため、一部の顧客は商品を受け取るまでに4カ月待つ状況だ。
アナリストによると、新型コロナによる工場閉鎖は大半の企業にとってずっと前に終わった出来事だ。しかし、画面やプロセッサーなどの部品は入手が難しい。供給の問題がなければ、21年の売上高予測はもっと高くなるという。
調査会社IDCのリース副社長は、複数の国での学校や企業向けの追加景気対策により、22年まで逼迫状態が続く可能性があると語った。
米デル・テクノロジーズのバード社長は今月、業界の「ルネサンス」を背景にログインしたり、カメラを切ったりする作業を簡略化する人工知能(AI)ソフトウェアを搭載した機器が近いうちに出てくると話した。
デルの第3・四半期のオンライン注文は前年同期より62%増と急増した。デルの従業員は、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」のセールは通常ならばテキサス州の本社で鐘を鳴らして祝うが、今年は自宅のパソコンでズームを通じて集まった。
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