- 2021/03/18 掲載
個人情報保護、国際展開の課題に=利用者の不安拭えず―LINE
対話アプリのLINEは17日、利用者の個人情報が、システム開発を担う中国の子会社から閲覧可能な状態になっていたと発表した。中国の高度な技術力に頼った形だが、同国の個人情報管理体制には懸念が付きまとうだけに、利用者の不安は拭えない。国内情報インフラの性格を強めるLINEにとって、国際的なIT企業を目指す上で個人情報保護の徹底が重い課題となる。
LINEによると、同社の子会社「LINEデジタルテクノロジー上海」の中国拠点で、技術者4人が2018年8月から今年2月まで国内のサーバーにある利用者名やIDなどの個人情報にアクセスできる状態だった。LINEは利用者に対する説明が不十分だったとして「不安や心配をおかけし誠に申し訳ない」と陳謝。不適切なアクセスは把握していないとしている。
「中国は既に人工知能(AI)開発などで日本を圧倒している」(ベンチャー投資ファンド首脳)。AIを軸にアジア展開を急ぐLINEが中国の専門人材や企業と連携するのは合理的とされる。
ただ、政府が民間企業に情報提供を指示できる政治体制の中国への情報移転には懸念が高まっている。個人情報保護法は、海外への個人情報移転で利用者の同意を得るよう規定。今回の事例では、情報は移転していないものの、中国子会社の技術者に個人情報の閲覧権を与えていた。
国内で8600万人が利用するLINEは、自治体の給付金申請に使われるなど、有力な情報インフラの一角になっている。利用者を守るには、データ管理や活用の範囲を明確に説明することが求められる。LINEは17日、引き続き海外拠点での開発に力を入れるとした上で、「各国の法制度などの環境変化に合わせて、先回りした対応や情報開示を実施する」と表明した。
【時事通信社】
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