- 2021/03/22 掲載
小売り・外食、準備急ぐ=価格対応分かれる―税込み表示
4月1日に商品やサービスの価格の税込み表示が義務付けられるのを前に、税抜きで表示してきた食品スーパーや飲食店が準備を急いでいる。義務化を控え、ファーストリテイリングはカジュアル衣料品店「ユニクロ」と「ジーユー」の全商品を値下げ。一方、「モスバーガー」を展開するモスフードサービスが同日、主力商品の値上げに踏み切るなど価格対応は分かれている。
イオンやライフコーポレーションなど大手スーパー、コンビニエンスストアは既に税込みと税抜きの価格を併記しており、対応は不要だ。税抜き価格だけを表示してきた首都圏の食品スーパー、サミットは全店で税込み価格を併記した値札への切り替えに追われている。同社の広報担当者は「(税込み表示だと)今後も税率変更のたびに作業が発生し、負担になる」と話す。牛丼チェーンの吉野家は今月1日に価格併記へ変更した。
「本体価格+消費税」と表示してきたファーストリテイリングは今月12日、本体価格をそのまま税込み価格に移行。実質約9%値下げした。消費者の低価格志向に対応する狙いがあるとみられる。
モスフードサービスは主力商品の値上げについて、新型コロナウイルスの感染拡大で持ち帰り客が増加し、紙袋などのコストが重荷になっていることを理由に挙げる。同時に、軽減税率の導入で分かれている店内飲食と持ち帰りの税込み価格をそろえる。
一方、NTTドコモは今月26日から提供を始めるデータ通信容量20ギガバイトの新しい携帯電話料金プラン「アハモ」について、当初は月額料金を税別2980円としていたが、同2700円に見直した。税込み表示を意識したとみられ、税込みでも2970円と、3000円を下回る価格に設定した。
小売りの現場では、1円単位で価格競争をしている業態も多い。大手スーパーなどの業界団体、日本チェーンストア協会は「(税込み表示だと)割安感が薄れ、企業努力が見えにくくなる」(幹部)とし、税抜きのみの表示を認めるよう政府に訴え続ける方針だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕本体価格と税込み価格を併記したスーパー店頭の値札(ライフコーポレーション提供)
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