- 2021/03/23 掲載
アングル:今週の米国債入札、需要を測る試金石に
特に7年債入札は、先月の入札が不調に終わっており、落札結果に注目が集まる公算が大きい。
米財務省は、新型コロナウイルス経済対策の財源を確保するため、過去1年間、国債を大幅に増発している。INGによると、今年の発行額は4兆ドルに達する見通しだ。
市場では、国債増発、連邦準備理事会(FRB)の金融緩和政策、景気拡大・物価上昇を背景に、国債利回りが上昇している。
23日には、パウエルFRB議長の議会証言が予定されており、国債買い入れなどFRBの超金融緩和政策の潜在的なリスクについて議員から質問が浴びせられる見通しだ。
10年債利回りは先週、14カ月ぶりの高水準となる 1.754%まで上昇。22日は1.68%付近だった。
財務省は、23日に2年債入札(600億ドル)、24日に5年債入札(610億ドル)、25日に7年債入札(620億ドル)を実施する。
<入札結果を楽観>
オックスフォード・エコノミクスのリードアナリスト、ジョン・カナバン氏は「今週の入札については楽観できる理由が十分にある」と指摘する。
同氏によると、先月25日の7年債入札(620億ドル)は、応札倍率が7年債としては過去最低となったが、これは特殊な事例であり、その後の他の年限の国債入札は「かなり良好」だった。
先週の20年債入札(240億ドル)は、応札倍率が2.51倍と、2月の入札時の2.15倍を大幅に上回った。2月の応札倍率は、20年債の発行を再開した昨年5月以降で最低だった。
同氏は、海外勢の応札が増えると予想。米投資信託協会(ICI)のデータによると、課税国債への資金流入も拡大していると指摘した。景気対策の一環で現金給付を受けた納税者が投資している可能性が高いとみられている。
同氏は「入札の2本柱である投資ファンドの需要と海外勢の需要はこれまでのところ、過去1年間の発行規模の増加におおむね歩調を合わせている」と指摘。「たとえ投資ファンドの需要が横ばいになり始めたとしても、(応札倍率は)極端な水準にはならなくても、高水準を維持するだろう」と述べた。
<入札後の取引で価格下落>
ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、ザカリー・グリフィス氏は、今月の10年債、20年債、30年債入札について、まずまずの結果だったとの受け止め方が多かったが、入札後の取引では価格が下落したと指摘。
「こうした入札は流動性イベントとなっており、投資家はこうした機会を活用している。ただ、その後の取引では多少の問題がみられ、基調的な需要が必ずしも盤石ではないことを示している」と述べた。
同氏は5年債と7年債の入札について、利回りは1カ月前よりも魅力的な水準だが、好調な結果が予想される2年債入札と比べると、やや厳しい結果になるかもしれないとの見方を示した。
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