- 2021/04/23 掲載
「国内債券等」を増加、外債と国内株式はやや減少=日本生命運用計画
23日開催した21年度運用方針説明会で明らかにした。
今年度の新規投資額(ニューマネー)は1兆4000億円程度を見込む。日本生命の執行役員財務企画部長、岡本慎一氏は、その7割を安全資産と位置付ける円金利資産に、うち「国内債券等」には1兆円以上を配分するとの見通しを示した。
国内債券等には、円債のほか、通貨スワップを使って円建てのキャッシュフローに固定した外債が含まれる。岡本氏はその比率について「昨年度はおおむね半々。今年も恐らく同程度になる」と見通しを明らかにした。
日本国債に関しては「超長期債の金利は一時期よりも上がっているので、30年ゾーンを中心に一定程度の投資を行う」としている。
また同氏は「米国長期債利回りも一時期と比べて随分水準が訂正されており、短期金利やヘッジコストも目先は低い状態で、投資妙味がある」と述べ、為替リスクを取らないヘッジ外債を買い増すと説明。その一方でオープン外債の残高は減少させ、両者のトータルでは「どちらかと言えば減少する」と語った。
日本生命は米国10年国債利回り(米長期金利)の見通しについて「足元の米金利上昇の背景にはインフレ期待の高まりがあるが、年度末にかけてはその期待が少ししぼむ中で米金利は低下していく」(小坂悠財務企画部担当課長)として、年度末時点で1.5%と、3─4月につけた水準(1.7%台)から低下すると予想している。
岡本執行役員財務企画部長は「クレジット物にはかなり力を入れている。世界中で低金利が続く中で国債だけを買っていてもなかなか収益にはつながらない。これまで積み上げた1件1件の社債を見極める能力を利用しながら積み増していく。社債は既に10兆円のエクスポージャーがあり、その9割が海外ものだ」と述べた。
同社では、年度末の日経平均株価をきょう時点(2万9020円)より3000円も安い2万6000円と予想しており、今年度は国内株式の残高を微減とする計画。これについて岡本氏は、21─23年の中期経営計画で掲げた「向こう3年で保有簿価の2%程度(1000億円)を売却」する計画に沿ったもので、「株式保有は運用収益の獲得と国の産業経済の発展を支える機関投資家としての役割2つの観点から重要と考えており、それ以上に積極的に増減させる必要性はない」と述べた。
外国株式は、分散投資の観点からオルタナティブを増額するため、残高は増加する。
日本生命の一般勘定の資産残高は、昨年12月31日時点で71兆3514億円。うち外貨建て資産は20兆3356億円(28.5%)。
2021年度の相場見通し(レンジと年度末の中心値)は以下の通り。▼はマイナス
日本国債10年物利回り ▼0.25―0.25%(年度末0.00%)
米国債10年物利回り 0.70―2.40%(年度末1.50%)
日経平均 2万1000―3万1000円(年度末2万6000円)
ドル/円相場 97―117円 (年度末107円)
ユーロ/円相場 112―138円 (年度末125円)
(植竹知子 編集:山川薫)
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