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  • 2025/05/01 掲載

知らない人はカモにされる…大統領選や株価暴落にも潜む「認知バイアス」とは?

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情報が氾濫している現代、人は1つ1つの情報への注意力が失われ、ますます「バイアス(=思い込み)」に囚われやすくなっている。いわゆるフィルターバブルやエコーチェンバーと呼ばれる現象だ。これにより、情報に踊らされ、時に大きな損失をもたらしてしまう。しかし「認知バイアス」は、知ることで強い味方にすることもできる。『世界は認知バイアスが動かしている 情報社会を生きぬく武器と教養』を上梓した、東京科学大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 講師の栗山直子氏が、「認知バイアスを理解すること」の重要性を解説してくれた。
執筆:東京科学大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 講師 栗山 直子

東京科学大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 講師 栗山 直子

東京科学大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 講師。専門は認知心理学、教育心理学、教育工学。青山学院大学文学部教育学科卒業、東京工業大学 大学院社会理工学研究科 人間行動システム専攻修士課程、同大学大学院同研究科 博士課程修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員PDを経て、東京工業大学 大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻助手。その後、同大学同研究科助教、改組により同大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 助教、講師を経て、現職。2016年文部大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)受賞。認知バイアスも含む人間の柔軟な思考、主に推論・問題解決に関心があり人の思考に関係する研究に従事。現在は論理的思考を育成するための研究を進めている。日本心理学会、認知科学会等会員。日本認知科学会をはじめ、海外のCognitive Science関連の学会で発表を多数行っている。

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科学技術がどんなに発達しても、人間は「認知バイアス」から逃れられない…
(Photo/Shutterstock.com)

現代人が「認知バイアスを知らない」のはヤバい

「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」
 ノーベル経済学賞受賞者で人工知能(AI)の生みの親でもあるハーバート・サイモン(1916~2001)は、生前にこのような言葉を残しました。情報が増えれば増えるほど、1つひとつの情報に振り向けられる注意が減るというトレードオフの状態になるということです。なぜなら、人間の脳のキャパシティは昔も今も変わらないからです。

 注意力を失った人間はどうなるか。ますます「バイアス(=思い込み)」に囚われやすくなります。

 ITの発展により情報は指数関数的に増えています。そんな「情報氾濫の時代」において、「思い込みに囚われた人類」が情報に踊らされ、大統領選、ネット炎上、株価暴落、大ブームなど、世界を大きく動かしています。

 情報が氾濫している時代だからこそ、情報にアクセスするだけの能力にはあまり意味はありませんし、どんなに頭の良い人でも、思い込みに囚われていては失敗をします。

 そして、思い込みは直感的であり、感情的なものです。意識をしなければ、自分でもコントロールできるものではありません。現代を生きる私たちにとって、認知バイアスを知らないことは、ことのほかヤバいことなのです。

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情報が氾濫している現代、「バイアス(=思い込み)」に囚われていては失敗してしまう
(Photo/Shutterstock.com)
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