- 2021/05/05 掲載
NY市場サマリー(4日)ナスダック急落でドルに安全買い、利回り低下
イエレン氏は「追加的な歳出は経済規模に対し相対的に小さいものの、米経済が過熱しないよう、金利は幾分か上昇する必要がある」と指摘。「米国の競争力と生産性のために必要な投資で、これにより経済成長が押し上げられるが、極めて微小な金利上昇につながる公算がある」と述べた。
この日の米株式市場では一時ナスダック総合が約2%、S&P総合500種が約1%下落。安全資産としてのドルに資金が流れた。
アナリストは、経済に関する良好なニュースの大部分はすでに織り込まれていると指摘。ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツ(トロント)のチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「第1・四半期を通して劇的に改善した結果、米景気見通しは現実と整合するようになった。このことは、サプライズが必ずしもプラス側に傾いているわけではないことを意味する」とし、「こうした段階では、リスク動向に敏感な通貨を避け、安全通貨に資金をシフトさせることが理にかなう」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数は0.3%高の91.278。
ドルは対円で0.2%高の109.32円。ユーロは対ドルで0.4%安の1.2013ドル。
ドルは豪ドルに対し0.8%、ニュージーランドドルに対し0.9%、それぞれ上昇した。
暗号資産(仮想通貨)のイーサは3530ドルと、再び過去最高値を更新。その後は1.7%安の3370ドル。
ドージコインも0.5922ドルと、過去最高値を更新。コインゲッコー・ドットコムによると、その後は36%高の0.5549ドル。
<債券> 株安を受け安全資産としての米国債に買いが入り、利回りが低下した。
この日の米株式市場ではナスダック総合が一時約2%下落。安全資産とされる米国債に資金が流れ、利回りが低下した。ただその後、イエレン財務長官が経済の過熱を防ぐために金利が上昇する必要があるとの考えを示したことが伝わると、長期債を中心に利回りは上向いた。
終盤の取引で10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の1.5959%。3月30日に付けた1年2カ月ぶりの高水準の1.776%を下回る水準にとどまっている。
MUFG(ニューヨーク)の米国マクロ戦略部門責任者、ジョージ・ゴンカルベス氏は、株安で国債利回り低下が触発された公算が大ききとしながらも、債券市場では懐疑感が高まっていると指摘。「経済指標が予想ほど好調でない可能性があるとの見方が徐々に出始めている」と述べた。
3日に米供給管理協会(ISM)が発表した4月の製造業景気指数は60.7と、1983年12月以来の高水準だった3月の64.7から鈍化。原材料などの供給不足が重しになっているとみられており、市場予想の65.0も下回った。
ゴンカルベス氏は、7日発表の4月の雇用統計の内容次第で、米債券市場が現在の膠着状態から抜け出す可能性があると予想。「利回りが上昇するには非農業部門雇用者数が急増する必要がある」と述べた。
財務省が3日、第2・四半期の借入予定額を4630億ドルとし、2月時点の950億ドルから大幅に引き上げる中、市場では今後の国債発行状況も注目されている。
2年債利回りは0.1624%と、上昇幅は1bp未満。10年債と2年債の利回り格差は143bpと、縮小幅は1bp未満にとどまった。
10年物の物価連動国債(TIPS)利回りは一時マイナス0.868%と、2月以来の水準に低下。終盤の取引ではマイナス0.828%。
<株式> ナスダック総合が急落した。金利上昇懸念や雇用統計を巡る不透明感を受け、時価総額の大きな成長株を売り、ディフェンシブ銘柄に資金をシフトする動きが広がった。
マイクロソフトやアルファベット、アップル、アマゾン・ドットコム、フェイスブックなどバリュエーションの高いハイテク関連株が幅広く売られた。アップルの下げが最も大きく3.54%安。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は1.6%下落した。
米取引所の合算出来高は122億1000万株で、約1カ月ぶりの高水準だった。
チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は「調整局面では成長株からディフェンシブ株に資金がシフトしやすい」と述べた。
素材と金融が続伸し、それぞれ1%、0.7%上昇。投資家はシクリカル(景気循環)セクターで資金を循環させているという。
イエレン米財務長官が、バイデン政権の投資計画が実行されるに従い、経済の過熱を防ぐために金利が上昇する必要があるとの考えを表明。金利上昇が成長株のバリュエーションに影響を与えるとの見方を背景にハイテク株売りに拍車がかかった。
OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は「米連邦準備理事会(FRB)の政策が間違っているかどうかについて数カ月経たないと分からず、これが一部のトレーダーの不安感につながっている」とした。
個別銘柄では、ドラッグストア・薬剤給付管理(PBM)大手CVSヘルスが4.4%高。第1・四半期利益がアナリスト予想を上回ったほか、2021年見通しを引き上げた。
IT調査会社ガートナーは14.2%高とS&P500構成銘柄で値上がりトップ。第1・四半期決算が市場予想を上回った。
引け後の取引では、米携帯電話サービス大手TモバイルUSが2.6%高。通期の契約件数の純増幅見通しを引き上げた。
S&P総合500種構成銘柄の第1・四半期利益は平均で47.7%増となる見込み。リフィニティブがまとめた増益率見通しは4月上旬時点で24%だった。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.47対1の比率で上回った。ナスダックでも2.60対1で値下がり銘柄数が多かった。
<金先物> 米金利上昇の可能性を示唆したイエレン米財務長官の発言をきっかけに売りが強まり、反落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比15.80ドル(0.88%)安の1オンス=1776.00ドル。
朝方は堅調に推移し、2月下旬以来の1800ドルを試す展開。しかし、イエレン財務長官がバイデン政権の成長戦略をめぐり「極めて緩慢な金利上昇につながる可能性がある」と述べたことが伝わると、金利先高感から売りが台頭。金塊は1795ドル近辺から一時1770ドル前後まで一気に値を下げた。
1800ドルの節目を抜けなかったことで利食い売りも出たほか、対ユーロでのドル上昇もドル建てで取引される金塊相場の圧迫要因となった。
<米原油先物> 米欧での経済正常化へ向けた動きを背景に需要回復期待が強まる中、続伸した。米国産標準油種WTI6月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.20ドル(1.86%)高の1バレル=65.69ドルと、中心限月ベースで3月11日以来の高値となった。7月物は1.20ドル高の65.61ドルだった。
米欧では、新型コロナウイルス対策で導入された経済活動規制や移動制限措置を緩和する動きが広がっている。燃料などエネルギー需要の先行きに楽観的な見方が浮上し、原油買いが活発化した。
夏季ドライブシーズンを控えて米国内のガソリン需要が堅調な伸びを示していることも相場の支援材料となった。
ドル/円 NY終値 109.33/109.36
始値 109.42
高値 109.46
安値 109.05
ユーロ/ドル NY終値 1.2013/1.2017
始値 1.201
高値 1.2035
安値 1.2003
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時03分 91*20.50 2.2622%
前営業日終値 91*03.00 2.2890%
10年債(指標銘柄) 16時58分 95*24.50 1.5942%
前営業日終値 95*21.00 1.6060%
5年債(指標銘柄) 17時03分 99*21.50 0.8173%
前営業日終値 99*19.50 0.8300%
2年債(指標銘柄) 17時01分 99*29.75 0.1605%
前営業日終値 99*29.75 0.1600%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34133.03 +19.80 +0.06
前営業日終値 34113.23
ナスダック総合 13633.50 -261.62 -1.88
前営業日終値 13895.12
S&P総合500種 4164.66 -28.00 -0.67
前営業日終値 4192.66
COMEX金 6月限 1776.0 ‐15.8
前営業日終値 1791.8
COMEX銀 7月限 2655.8 ‐40.2
前営業日終値 2696.0
北海ブレント 7月限 68.88 +1.32
前営業日終値 67.56
米WTI先物 6月限 65.69 +1.20
前営業日終値 64.49
CRB商品指数 202.4488 +1.5998
前営業日終値 200.8490
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