- 2021/05/06 掲載
NY市場サマリー(5日)ドル伸び悩む、ダウ最高値更新
<為替> ドルが2週間超ぶりの高値を付けた後に伸び悩んだ。米経済指標が予想をやや下回った。投資家は週末の米雇用統計待ちとなっている。
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが5日に発表した4月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が74万2000人増加し、7カ月ぶりの大幅増となった。ただ、ロイターがまとめたエコノミスト予想の80万人増には届かなかった。
また、米供給管理協会(ISM)が5日発表した4月の非製造業総合指数(NMI)は62.7と、過去最高だった前月の63.7から小幅に低下。市場予想は64.3だった。
ロイターのエコノミスト調査によると、7日に発表される4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が97万8000人増加することが見込まれている。
ドル指数は序盤に91.436と4月19日以来の高値に浮上。ただ終盤は91.319と伸び悩んだ。
当局者発言では、米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁が5日、連邦準備理事会(FRB)の物価目標達成に懸念を示し、当面は超緩和的な金融政策が維持されるとの見方を示した。
また、米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、新型コロナウイルス禍に起因する不均衡が是正されるに従い、今年の春のインフレ率は一時的に歪められる可能性があるとしながらも、こうした圧力は短期的なもので、FRBの政策変更にはつながらないとの考えを示した。
米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は5日、米経済は多くの政策当局者が予想していたよりも速く回復しているが、「広範な回復を達成するには時間がかかる」とし、FRBが大規模な支援策を縮小する条件が満たされるには雇用市場の一段の進展が必要だと述べた。
コモディティー通貨のカナダドルは対米ドルで3年ぶりの高値を付けた。原油価格が上昇したほか、世界経済の回復を巡る楽観的な見方が支援した。
ドルはユーロに対し0.12%高の1.1999ドル。2週間超ぶりの高値となった。
日本と中国が祝日のため、オーバーナイトの商いは限定的だったが、ニュージーランドドルは予想を上回る雇用指標を受け0.83%高の0.72080米ドル。豪ドルも0.4%高の0.7742米ドルとなった。
ポンドは0.12%高の1.39020ドル。イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会が6日に予定されている。一部では債券購入プログラムの縮小が発表されるとみられている。
<債券> 国債利回りが低下。インフレ見通しが数年ぶりの水準に上昇したことに反応した。
10年物の物価連動国債(TIPS)と通常国債の利回り差で市場の期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.47%と、2013年4月以来の高水準に達した。5年物の物価連動国債(TIPS)のBEIも2.695%と、2011年4月以来の高水準を付けた。
複数の米連邦準備理事会(FRB)当局者が講演し、インフレの大幅かつ持続的な上昇リスクを重要視しない認識を示したにもかかわらず、インフレ期待は上昇した。
米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は「経済指標は揺れ動くが、展望の期間を通してインフレ率は2%近辺にとどまると予想されている」とし、「これにより、労働市場が一段と改善するまで、緩和策の引き揚げに忍耐強く対応できる」と語った。
終盤の取引で10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の1.5819%。3月30日に付けた1年2カ月ぶりの高水準の1.776%を下回る水準にとどまっている。
2年債利回りは0.1546%と、1bp弱の下げにとどまった。
2・10年債の利回り格差はほぼ変わらずの142.37bp。
米財務省は四半期定例入札について、来週実施する3、10、30年債入札規模を維持すると発表した。
<株式> ダウ工業株30種が終値ベースで過去最高値を更新した。ゴールドマン・サックス、キャタピラー、シェブロンなどが買われ、ダウを押し上げた。ナスダック総合は大型テクノロジー株が下落する中、当初の上げから反転し、マイナス圏で終了した。
S&P総合500種はほぼ横ばい。S&Pの主要セクターではエネルギーと素材が上げを主導。ディフェンシブ銘柄の公益事業、不動産は下げがきつかった。
前日に下落していたフィラデルフィア半導体指数は反発し、0.61%高。大型テクノロジー株のアマゾン・ドット・コム、フェイスブックは1%超下落した。
前週は好調な経済指標や決算を背景にS&P500種とナスダックが最高値を更新したが、インフレの高まりや金利上昇の可能性への懸念から市場は不安定な値動きとなっている。
カジノ運営のシーザーズ・・エンタテインメントは7.8%高と、S&P500種構成銘柄の中で最大の上昇率を記録した。経済再開の恩恵を受けるとの見通しを示したことが背景。
ナスダック100指数では、携帯電話サービス大手TモバイルUSの上昇率(4.4%)が最大だった。通年の月額払い(ポストペイド)契約者数見通しを引き上げたことが好感された。
エクササイズバイクやランニングマシンのメーカー、ペロトン・インタラクティブは14.6%下落し、8カ月ぶりの安値を付けた。けがや死亡事故が報告される中、ランニングマシンのリコールを発表したことが嫌気された。
配車大手ウーバー・テクノロジーズは引け後の時間外取引で4%超下落。同社が引け後に発表した第1・四半期決算は赤字幅が縮小した。料理宅配事業が引き続き好調だった。ただ、配車事業の予約件数は前四半期比で横ばいとなった。
<金先物> 米金利低下などを背景に買われ、反発。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比8.30ドル(0.47%)高の1オンス=1784.30ドル。朝方に長期金利の指標となる10年物国債利回りが一時1.62%台に上昇。これを嫌気して金塊は1769.30ドルまで一気に値を下げたが、その後金利が低下に転じると、金塊は短時間で買い戻された。足元でインフレ懸念がくすぶっていることも、インフレヘッジとしての金塊買いを支援した。
<米原油先物> 利益確定の売りなどに押され、3営業日ぶりに反落。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比0.06ドル(0.09%)安の1バレル=65.63ドルだった。7月物は0.02ドル安の65.59ドルとなった。
前日に中心限月ベースの清算値で3月中旬以来の高値を付けており、高値警戒感から利益確定の売りが出やすかった。また、外国為替相場では対ユーロでドルが上昇。ドル建てで取引される原油などの商品の割高感につながった。
米エネルギー情報局(EIA)が5日の朝方発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比800万バレル減と、市場予想(ロイター調査)の230万バレル減を大幅に上回る取り崩し幅となった。これを受け、朝方の原油相場はプラス圏で推移していた。
*株のリポートを追加しました。
ドル/円 NY終値 109.18/109.21
始値 109.30
高値 109.38
安値 109.15
ユーロ/ドル NY終値 1.2005/1.2007
始値 1.2015
高値 1.2019
安値 1.1992
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 92*00.00 2.2448%
前営業日終値 91*18.00 2.2660%
10年債(指標銘柄) 17時05分 95*31.00 1.5713%
前営業日終値 95*25.00 1.5920%
5年債(指標銘柄) 16時59分 99*25.00 0.7948%
前営業日終値 99*21.00 0.8200%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.13 0.1546%
前営業日終値 99*29.63 0.1620%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34230.34 +97.31 +0.29
前営業日終値 34133.03
ナスダック総合 13582.43 -51.08 -0.37
前営業日終値 13633.50
S&P総合500種 4167.59 +2.93 +0.07
前営業日終値 4164.66
COMEX金 6月限 1784.3 +8.3
前営業日終値 1776.0
COMEX銀 7月限 2652.2 ‐3.6
前営業日終値 2655.8
北海ブレント 7月限 68.96 +0.08
前営業日終値 68.88
米WTI先物 6月限 65.63 ‐0.06
前営業日終値 65.69
CRB商品指数 204.1384 +1.6896
前営業日終値 202.4488
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