• 2021/05/24 掲載

インタビュー:ルノー・三菱との連合がより重要に、電動化へ規模生かす=日産COO

ロイター

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白木真紀 山光瑛美

[横浜市 24日 ロイター] - 日産自動車のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)はロイターとのインタビューで、自動車の電動化が本格的に進む中、連合を組む仏ルノー、三菱自動車工業との相乗効果がより重要性を増してくるとの見方を示した。3社で車載電池技術などを共通化し、規模を生かしてコストを抑えながら、内燃機関からの移行を進める考え。

グプタCOOは、車の骨格となる車台(プラットフォーム)や駆動装置(パワートレーン)、部品の共通化で「最大限のシナジー(相乗効果)を発揮してきた」と3社のこれまでの取り組みを評価。「電動化という大きな目標を利用し、シナジーのギアをさらに上げていきたい」と語った。

日産は早くから注力してきた電気自動車(EV)と独自のハイブリッド(HV)技術の2本柱で電動化を進めている。今年1月には、2030年代早期から主要市場で発売する新型車全てをEVと独自技術によるHVにする計画を打ち出した。

グプタ氏は、協議中だった車載電池技術の共通化で3社がこのほど合意したと話し、「3社共通のサプライヤーから共通仕様の電池を選べば、3社それぞれの業績を確実に改善できる」と説明。コスト競争力につながると判断すれば「経営資源の重複を排除するため共有する」と述べた。

同氏によると、電池は日本、米国、中国、欧州で調達しており、ルノーや三菱自との共有は難しいものではなく、部品はグローバルで調達できるため、電動化で供給面での課題は起きないという。

自動車の電動化が本格化する中、自動車業界では開発コストを引き下げるための合従連衡が進んでいる。トヨタ自動車はSUBARUとEV専用車台を開発し、中国のEVメーカー、BYDとも合弁会社を設立。ホンダと米ゼネラル・モーターズは自動運転サービス専用車の設計で協力し、北米向けEVや電池の共同開発にも取り組んでいる。

日産では、今年半ばに発売するクロスオーバーSUV「アリア」のEV専用車台や主要部品をルノーも採用。来年にも投入する軽自動車のEVは三菱自との共同開発で、車台や電池は共通になる。日産とルノーは17年に中国の東風汽車と現地でEVの共同開発合弁会社を設立済みだ。

さらに協業を深める考えで、グプタ氏は相乗効果が最も期待できる分野として電池、独自のHV技術、電動車の基本設計(アーキテクチャ)を挙げた。その上で、「電池に使う部品が共通化できれば、規模の経済に大いに貢献する」と語った。

日産は主要市場での新車はEVとHVに切り替える方針だが、内燃機関を使う車の販売を止めるわけではない。グプタ氏は「(ガソリン車でも)顧客から高く評価されているモデルは続ける」と述べ、例えば「中東で日産の象徴的なモデルである(大型SUV)『パトロール』は残す」と述べた。

グプタ氏はまた、規制が厳しい欧州ではEVへの移行が急速に進むと予想する一方、日本はHV、EV、内燃機関車が「バランスよくミックスされると思う」と語った。米国では「おそらく内燃機関車がなお主流で徐々に電動化していく」との見通しを示した。

このほか、次世代電池として注目される全固体電池にも言及。日産はEVをガソリン車並みの価格にするため、現状のリチウムイオン電池の価格を1kWh当たり100ドル以下にし、その先の目標として75ドルを視野に入れている。グプタ氏は「(75ドルを)達成できる可能性があるのは開発中の全固体電池だ」と語った。

日産はEVの普及には総保有コスト(購入から手放すまでの費用)でEVがガソリン車を下回ることが重要とみている。一般的にEVコストの3分の1を占めるといわれるほど電池のコストは重い。電池価格はこれまで着実に低下してきたが、このところの原材料の高騰もあって下がりにくくなっている。同社は希少金属のコバルトを使わない安価な電池の実用化に取り組んでいる。

日産は20年代後半に全固体電池を搭載したEVの投入を目指す。全固体電池はリチウムイオン電池に比べてコストがかからず、充電時間も短縮できることなどが期待されており、各社が開発を急いでいる。

*インタビューは21日に行いました。

(白木真紀、山光瑛美 編集:久保信博)

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