- 2021/05/26 掲載
コロナ後の金融・財政:マイナス金利、円高抑止策と評価=海江田元経産相
マイナス金利政策を巡って海江田氏は「円高が阻止され(1ドル=)110円位で推移し、コロナ禍で内需が傷む中でも外需で稼いでいる。マイナス金利の目的のひとつが円高阻止だったのだろう」と、評価する考えを示した。
「日本経済は三重苦などと言われ、なんとか円高を是正できないかとずっと思っていた」と、自身が経産相だった2011年当時を振り返り、日銀が16年1月にマイナス金利導入に踏み切った背景に「一方的な円高はなんとか避けないといけない、という思いがあったのだろう」と理解を示した。
もっとも政府・日銀が掲げる物価安定2%目標にはなお遠く、実体経済に対しては「設備投資は若干伸びたが、個人への低金利・金融緩和によるメリットはまったくなかった。消費への働きかけも失敗だった」とした。「潜在成長率がほとんどゼロ%の日本にとって2%のインフレは無理がある」との認識も併せて示した。
海江田氏は、金融緩和政策が長引く現状に「(民間金融機関の利ざや縮小などの)副作用が生じ、これから直していかなければいけない」としつつも、副作用対策は金融システムや金融行政、銀行の体質改善など様々な問題がかかわるため「時間のかかる話だろう」と語った。
マイナス金利政策を導入しても預金にマイナス金利を課せないのは「銀行の数が多く過当競争になっているからと言える。デジタルトランスフォーメーション(DX)も後れをとり、銀行は稼ぐビジネスモデルをまだ確立していない」とし、マイナス金利を深堀りするには「金融機関の体質がもう少し強くならないといけない」と指摘した。
日銀は3月の政策点検で、現行の金融緩和の枠組みをより持続可能なものとするため、ETF(上場投資信託)の買い入れを柔軟化した。
これについて海江田氏は「日銀のステルステーパリング(密かな緩和縮小)はすでに始まっている」と指摘。日銀の出口戦略を巡って「ETFから始めるのは極めて妥当な判断。買い入れ上限は残しつつ、買い入れを柔軟化したのは重要な第一歩」とも述べた。
*インタビューは24日に実施した。
(木原麗花 日本語記事執筆:山口貴也 編集:石田仁志)
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