- 2021/06/30 掲載
銀行融資の環境・雇用への影響、測定基準作成へ UBSなど
「バンキング・フォー・インパクト」と銘打ったこのグループには、オランダのABNアムロやデンマークのダンスケ銀行も参加。ハーバード・ビジネス・スクールと共同で、プロジェクトを進める。持続可能な経済への移行を促すことが狙いだ。
金融業界がこうした規模で新たな報告基準を作成するのは初めて。
ハーバードは2019年に「インパクト加重会計への取り組み(Impact-Weighted Accounts Initiative)」を開始し、環境への悪影響と株価下落の「重大な関係」を示すため、1800社以上の上場企業を分析している。
バンキング・フォー・インパクトは、従来の財務報告書では捕捉できない融資の影響を追跡する新たな会計制度を編み出す方針。例えば、銀行の融資した資金が最終的に環境汚染につながったのか、雇用創出につながったのかを判断できる可能性がある。
UBSのラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)は「世界経済には、社会と環境への影響を財務指標と同様に透明性のあるものにする市場原理に基づくシステムが必要だ」との声明を発表した。
こうした「外部性」(外部への影響)については、すでに多くの企業が金銭価値への換算を試みているが、現時点では標準化された手法がない。投資家が同一業界内の企業を比較する際には標準化が不可欠になるとみられている。
バンキング・フォー・インパクトは、他の銀行にも参加を呼び掛けながら、取引先が及ぼす影響をドル建てで算出するルールなど、新たな業界プロトコルを2022年末までにまとめる方針。こうして算出した値を財務指標と組み合わせて、銀行の意思決定に役立てることが可能になるという。
ABNアムロのロバート・スワークCEOは「われわれは銀行として、利害関係者に確実に影響力を持っている。測定や報告を通じて自らの影響力を把握すれば、どのような分野で最も良い影響を及ぼせるのか、また悪影響を減らせるのかについても理解できるようになる」と述べた。
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