- 2021/07/29 掲載
クレディ・スイス、第2四半期は78%減益 アルケゴス問題が響く
投資銀行部門の収入が大幅に減少した。米投資会社アルケゴスや英金融サービス会社グリーンシルを巡る不祥事が響いた。
同社がまとめた市場予想は3億3400万フランだった。
同社はアルケゴス問題に関する調査報告書も公表。アルケゴスに関連して55億ドルの損失を出したことについて、リスク管理に対する「やる気のない」態度と「説明責任の欠如」が原因だったと指摘した。
トマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)は「第2・四半期は実質ベースで底堅い業績となり、自己資本比率も高水準だった。アルケゴスとサプライチェーン・ファイナンス・ファンドを巡る問題で生じた課題に断固とした措置を講じたことが、プラスに働いている」との声明を発表。
「われわれは、この2つの問題を非常に深刻に受け止めており、あらゆる正しい教訓を学ぶ決意だ」と表明した。
アルケゴス問題など重要な項目を除くベースでは、税引き前利益は11%減となった。
アルケゴス問題に関する報告書は165ページに及んだ。法律事務所ポール・ワイス・リフキンド・ワートン・ギャリソンは報告書で、クレディ・スイスのプライムサービス部門と投資銀行部門全体のリスク管理体制を批判。
不正や違法行為の証拠はなかったが「事業とリスク管理担当者の能力に直ちに疑問が生じる。リスク管理担当者は、アルケゴス関連のリスクの規模と緊急性を把握するために必要な情報をすべて持っていたが、複数回にわたって、抜本的な緊急措置を講じる機会を逃した」としている。
これに対し、クレディ・スイスは、アルケゴス問題を「リスク管理手法全体の転機とする」と表明。この問題に関連して、9人を解雇するなど、スタッフ23人を処分し、総額7000万ドルのペナルティーを科したことを明らかにした。
投資銀行部門は41%の減収。不祥事の影響がアナリスト予想をわずかに上回ったことが浮き彫りとなった。資本市場業務は、調整前のベースで10%近い減収。助言業務は「契約完了のタイミングにより」37%の減収となった。
これにアルケゴス問題に関連する損失6億5300万ドルが加わり、投資銀行部門の税引き前損益は赤字となった。
トレーディング業務では、株式セールス&トレーディングが、アルケゴス問題を除くベースで、17%の減収。債券セールス&トレーディングは33%の減収だった。
ウエルスマネジメント部門からは差し引きで73億フランの資産が流出した。
デービッド・マザーズ最高財務責任者(CFO)は、流出分のうち42億フランはアジアでのリスク削減に関連するものだと説明。資金流出は第2・四半期の初めに集中していたと述べた。
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