- 2021/10/26 掲載
円債を平準買い、外債投資はクレジット中心 国内株削減=21年度下期・明治安田生命運用計画
25日に開催した運用方針説明会で明らかにした。
新規財源の規模と配分は年度初めに示した計画から変わらない見通し。新規財源3兆9000億円のうち、円建て債券に約4割、為替ヘッジを付けたソブリン外債と国内貸付に約1割、ヘッジ付き外債(クレジット)に約2割、オープン外債に約2割、外国投信や外国株などに残り1割を配分する。
同社が「円金利資産の核」と位置付ける円建て債券は、金利上昇局面では超長期国債を購入したが、基本的には上半期に引き続き、金利リスク削減に向けて平準的に買い入れを行う計画。
外貨建て債券については、世界的に債券利回りが上昇するなか、インフレ動向や政策金利引き上げの速さなどを踏まえて、相対的に優位となる国や通貨を選別して投資する。
執行役員運用企画部長の大崎能正氏は、「各国の国債利回りも上昇してきたが、米国クレジットは足元のヘッジコスト控除後利回りは1.7%程度、デュレーションは8─9年程度で、米10年国債利回りと比較すると依然投資妙味がある水準」として、ヘッジ外債はインハウスで米国クレジット物を中心に積み上げる考えを示した。
ヘッジ付きのソブリン債では、利上げを実施した国や、スプレッドがとれるオーストラリアやカナダの州債、米住宅ローン担保証券(MBS)など準ソブリン債への投資を想定しているが、過年度投資分の償還が多く、ネットでは残高が減少する見通し。
一方、オープン外債については、上半期に政策金利引き上げ前の機会を捉えてメキシコ、ニュージーランド、ポーランドへ一定の投資積み増しを実行したと明らかにした上で、下半期はカナダやオーストラリアといった利上げをまだ実施していない国を中心に投資する意向を示した。
ヘッジ付きソブリンとクレジット、それにオープンを合わせた外債トータルでは、残高は増加する見通し。
為替市場では今月に入って急ピッチで円安が進行するが、明治安田生命では米国の利上げ開始時期は23年度との前提を置いており、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを急がないとの姿勢の理解が今後進めば、足もとの円安傾向は一定程度是正されるとの見方から、今年度末のドル円中央値は111円程度との見通しを堅持した。
本日のドル円レートは同社想定レンジ(107─114円)の上限にほど近い水準だが、大崎氏は、「オープン外債はドル円が想定レンジの下限に近づく局面で機動的に買い入れる」として、大きく円高に振れれば投資を検討すると述べた。
国内株式については、株価が大きく下げたタイミングを捉えて買い戻しを行ったため上半期実績は残高が予想外にやや増加したが、引き続きリスクを削減しつつ銘柄入れ替えによる利回り向上を目指す方針で、下半期は残高減少を見込む。
新たな資本規制導入を見据えて経済価値ベースの健全性を確保する観点から、配当利回りが低かったり株価上昇が見込めない低採算銘柄を中心に、23年度までに簿価ベースで1500億円程度の国内株式を売却する計画にのっとって、着実に進めていく考え。
ファンド形式で投資を行う外国株式はやや増加の計画。アウトソース(外部委託)での外国株投資に加え、中長期での収益力向上を目指して、海外不動産やプライベートエクイティ(未公開株)にも資金を振り向ける。
明治安田生命の一般勘定の資産残高は、6月末時点で42兆0994億円。うち外貨建て資産は11兆2674億円(26.8%)。
21年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。▼はマイナス。
日本国債10年物利回り ▼0.15%─0.20%(年度末0.1%)
米10年債利回り 1.60%─2.10%(同1.9%)
日経平均 2万7000─3万2000円(同3万1000円)
米ダウ 3万1000─3万6500ドル(同3万4500ドル)
ドル/円 107─114円(同111円)
ユーロ/円 126─134円(同130円)
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