- 2025/10/21 掲載
「戦力外」にされない人の資料作成「黄金ステップ」が効果絶大、デロイト望月氏が伝授
デロイト トーマツ コンサルティング テクノロジー・メディア・通信(TMT)ユニット 兼 モニターデロイト ディレクター、神戸大学非常勤講師(新規事業開発)。1989年生まれ。飛び級で大阪大学大学院 経済学研究科 経営学・金融工学専攻修了 経営学修士(MBA)。2013年にデロイト トーマツ コンサルティングに入社。長期ビジョン構想、事業戦略策定、新規事業開発、企業再生、M&Aのほか、欧州・アジアにおけるグローバル戦略展開、グループ組織再編にも従事。ファーム内で数パーセントの人材に限られる最高評価(Exceptional)を4年連続で獲得、複数回の年次スキップを経てディレクター職に昇格。デロイト トーマツ グループを対象とした「ロジカルシンキング」研修講師を担当し、外部企業向けにも研修プログラムを提供。新卒・中途入社社員の採用や人材開発にも携わっている。著書に『目的ドリブンの思考法』『シン・ロジカルシンキング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。X(旧Twitter)アカウント @andymochizuki でコンサル式仕事術なども配信中。
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どんなに焦っても守るべき資料作成「黄金ステップ」4つ
コンサルタントにとって、資料作成スキルは「ジュニア時代の基礎中の基礎」と言ってもいい。リサーチした情報をまとめ、相手に伝わりやすいストーリーへと組み立て、それをアウトプットとして“見せる化”する。この一連の動作の中には、コンサルの基礎力を鍛えるための重要な要素が詰まっている。逆に、資料作成がうまくできないと「この人はまともに紙(業界用語で資料のこと)も書けないのか…」と、戦力外にカウントされてしまう。短いプロジェクト期間の中、資料作成が遅かったり完成度が低かったりして、上司や先輩が仕事の“巻き取り”をせざるを得なくなれば、評価だけでなく信頼までも失う。厳しい話だが、コンサルティングファームの人に対する見切りはシビアだ。一度信頼を失えば、次の仕事にはもう声をかけてもらえなくなることだってある。
そんな状況を避けるために、僕がチームメンバーにいつも伝えている資料作成の「黄金ステップ」がある。それは、
- ステップ1:目的・アジェンダ設定
- ステップ2:資料構成・骨子作成
- ステップ3:コンテンツドラフト
- ステップ4:最終化
という4つだ。資料作りは例外なく、この順番で進めていく。あるメンバーが2週間という短期案件からの焦りで、いきなりステップ3から手をつけてしまい、結果的にクライアントニーズから離れた資料を出してすべてがムダになったこともあった。そのときに聞いたのが、「どんなに焦っていてもこの黄金ステップは守るべきでした…」という言葉だった。
ステップを飛ばして作業したときの代償は大きい。ステップ1で目的・アジェンダを定めておかないと、使い道がないズレたムダ紙を作ってしまう。ステップ2で全体の資料構成を見ておかないと、どのような位置づけかわからないまま資料を作り始めてしまう。結 果、「この資料ってなんで作ったの?」と言われるリスクはどこまでも上がる。
大切なのは、いきなり個々のスライドを作り始めるのではなく、目的・構成から順番に組み立てていくということ。慣れないうちは抽象度が高いところから具体へ下ろして考えることに難しさを感じるかもしれないが、これがコンサルタントに求められる思考の過程だ。
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