- 2021/11/27 掲載
欧州市場サマリー(26日)
英政府はこの新変異株について、これまでに発見された中で最も重大な変異ウイルスだと科学者は考えており、ワクチンの有効性を確認する必要があると述べた。
英政府が、南アフリカおよび隣接する5カ国からの飛行機乗り入れを一時的に禁止したことを受け、旅行大手TUIは10.5%急落。格安航空会社のイージージェット、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)などの親会社IAG、格安航空ウィズエアーも11.4─15.2%下落した。
ソシエテ・ジェネラルの欧州株式投資戦略の責任者、ローランド・カロヤン氏は「この変異株についてまだあまり分からないが、深刻な場合はマクロ経済シナリオを完全に変える可能性がある」とし、「われわれがロックダウン(都市封鎖)に入り、経済に深刻な負担を与える期間に、イングランド銀行(英中央銀行)が利上げを行う可能性は低い」と述べた。
英中銀による12月の利上げ観測が後退し、英金融大手HSBC、バークレイズ、ロイズは6.7─7.4%下げた。
景気減速への懸念が再び高まったことから商品価格が急落し、FTSE350種石油・ガス株指数、鉱業株指数はそれぞれ6.39%、4.34%下落した。
ロンドン株式市場:[.LJP]
<欧州株式市場> 大幅反落して取引を終えた。ワクチンに耐性を持つ可能性のある新型コロナウイルスの新たな変異株が見つかったことが世界経済に新たな打撃を与えるとの懸念が高まり、投資家がリスク回避の姿勢を強めたため売り注文が広がった。
STOXX欧州600種指数の下落率は2020年6月以来、約1年5カ月ぶりの大きさとなった。今週の下落率は4.53%となった。
南アフリカやボツワナ、香港で確認された変異株についてはほとんど知られていないが、科学者によるとこの変異株は非常に珍しい変異を持ち、体の免疫反応を回避したり、感染力を高めたりする可能性がある。
26日のフランスのCAC40種は4.75%下落。ドイツのDAX指数は4.15%、スペインのIBEX指数は4.96%それぞれ下げた。
サクソバンクの株式戦略責任者のピーター・ガーニー氏は「欧州と米国北部の一部では、既に多くの新型コロナ感染者や入院者が出て緊迫した状況にある中で、新たな変異株は最悪のタイミングで見つかった」とし、「この新たな変異株に対してワクチンがどの程度効果があるのかが現時点で分からないため株式はネガティブに反応しており、新たなロックダウン(都市封鎖)のリスクが高まっている」と指摘した。
STOXX欧州600種旅行・娯楽関連株指数は8.79%と急落。下落率は、新型コロナ感染拡大で売り注文が殺到した20年3月以来の大きさとなった。
英国は26日から南アフリカといくつかの近隣国からの渡航を一時禁止することを発表し、欧州連合(EU)も同様の動きを計画している。
旅行・娯楽関連株指数は今週13.62%下がり、業種別で最大の下げ幅となった。
新たな変異株が見つかった問題を受けて、ユーロ圏の金融市場では欧州中央銀行(ECB)の来年の利上げ観測が後退。22年12月に10ベーシスポイント利上げする確率は今週初めの100%からほぼ半減した。
ユーロ圏の国債利回りが低下したのが響き、STOXX欧州600種銀行株指数は6.88%下げた。
一方、テクノロジー株指数の下落率は3.20%にとどまった。
欧州株式市場:[.FJ]
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが全体的に大幅に低下した。南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が検出されたことを受け、投資資金が安全資産に流れ込んだ。
コメルツ銀行の金利ストラテジスト、ライナー・グンターマン氏は「株式などのリスク資産が圧迫される中、国債などの安全資産が買われており、典型的なリスクオフの動きだ」と指摘。「まだ始まったばかりだが、年末に向け安全資産をやや選好する動きが出るかもしれない。また、新たな変異株が大きな懸念ではないと分かったとしても、それが中銀のリスク評価にどのように影響するかを見極める必要がある」とし、パンデミック(世界的大流行)がいつでも再発する可能性があることを想起させるとした。
国債や日本円、スイスフラン、金などの安全資産が買われた一方、アジアや欧州の株式は下落した。
ドイツ10年債利回りは1530GMT(日本時間27日午前0時30分)時点で9ベーシスポイント(bp)低下のマイナス0.33%。他の域内高格付け国債利回り も約8bp低下した。
イタリア10年債利回りは9bp低下の0.97%と1%の大台を割り込んだ。
また、市場の利上げ期待が低下した。短期金融市場が織り込む、欧州中央銀行(ECB)が2022年12月までに0.10%ポイントの利上げを実施する確率は週初の100%から約50%に低下した。
ECBのデギンドス副総裁とECB理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は26日、ユーロ圏経済は回復し続けているものの、新型コロナウイルス感染再拡大と新たな変異株の出現という課題に直面しているとの認識を示した。
ECBのラガルド総裁は26日、ECBは必要に応じて対応するとしながらも、インフレ率は来年1月から低下に向かうとの認識を示した。
ユーロ圏金融・債券市場:[DE/BJ]
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.1301 1.1233
ドル/円 113.42 114.16
ユーロ/円 128.19 128.23
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 464.05 -17.67 -3.67 481.72
FTSEユーロファースト300種 1796.11 -69.22 -3.71 1865.33
ユーロSTOXX50種 4089.58 -203.66 -4.74 4293.24
FTSE100種 7044.03 -266.34 -3.64 7310.37
クセトラDAX 15257.04 -660.94 -4.15 15917.98
CAC40種 6739.73 -336.14 -4.75 7075.87
<金現物> 午後 コード
値決め 1788.15
<金利・債券>
米東部時間13時32分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.58 0.00 100.58
独連邦債2年物 112.46 +0.05 112.41
独連邦債5年物 135.66 +0.48 135.18
独連邦債10年物 172.34 +1.36 170.98
独連邦債30年物 215.78 +3.28 212.50
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.766 -0.014 -0.782
独連邦債5年物 -0.648 -0.077 -0.568
独連邦債10年物 -0.342 -0.090 -0.249
独連邦債30年物 0.015 -0.070 0.088
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