- 2021/12/29 掲載
中国商品先物、来年は大幅変動や急上昇が一服へ
それでも、年間を通じて食用油や一般炭を中心におおむね価格上昇が見込まれている。ただ、来年は中国経済が控えめな成長にとどまると予想される中、今年のようなコモディティー価格の大幅変動や急上昇が繰り返される可能性は低い。
国泰君安期貨のWang Xiao氏は「景気循環や高インフレ、(新型コロナウイルスの)変異株などの要因がコモディティー価格のボラティリティーを増幅させた」と指摘。その上で「需要の伸び鈍化や力強い供給回復により、中国のコモディティー価格が来年も強気相場となる可能性は低い」との見方を示した。
<金属>
上海先物取引所の金属価格は今年の高値から下落するとみられているが、需要に支えられてコロナ禍前より高い水準を維持する見通し。
フィッチ・ソリューションズはリポートで「21年後半の電力不足は中国の金属需要減少につながった。自動車生産や機械、家電、消費者向け電子機器セクターの見通しは引き続き堅調なことから、(金属)需要の一部は22年に持ち越されるだろう」と予想した。
ただ、信用の伸び鈍化や中国恒大集団の債務問題を受けた不動産部門の減速を背景に、来年の金属需要は全体的に抑制されるとの見方を示した。
このため、大連商品取引所の鉄鉱石先物や上海取引所の鉄鋼価格は、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)部門からの需要を期待できるベースメタルよりも大幅な下落が見込まれる。ベースメタルは在庫が少ないことも価格を下支えする見通しだ。
<エネルギー>
鄭州商品取引所の一般炭先物は今年、過去最高値に上昇したが、供給拡大や価格安定に向けた当局の措置を受けて来年は下落傾向が予想されている。
国泰君安期貨のWang氏は、石炭価格が落ち着けば、エネルギー消費の大きいアルミニウムや尿素などの価格上昇が和らぐだろうと指摘した。
<農産品>
今年は世界的な供給不足で食用油の価格が記録的な高値に上昇した。カナダの菜種収穫量は干ばつの影響で14年ぶりの低水準となり、東南アジアでは労働力不足や搾油施設の問題、肥料不足などでパーム油生産に影響が出た。
来年前半も低調な生産が続く見通しだが、アナリストは労働力不足の改善が増産につながり、価格上昇が緩和されると予想している。
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