- 2022/01/04 掲載
アングル:5年ぶりの円安水準、年末年始を無事通過でドル買い強まる
年初の相場は流動性が低く、振れやすい傾向がある。実際、4日の市場でも「115.50円ちょうどではドルの利益確定売りのオーダーが多く入っているものの、きょうまで休みの国内企業も多く決済はされていない」(国内銀行)との声が出ていた。115円半ばを超えても利益確定売りが優勢とならず、ドル/円を押し上げている面もあるという。
ただ、円高リスクを警戒されることが多い年末年始を無難に乗り切ったことで、ドル買い・円売りが強まりやすくなっていると、野村証券のチーフ為替ストラテジスト、後藤祐二朗氏は指摘する。今週の材料次第で116円突破もあるとみている。
今週は、4日に12月米ISM製造業景気指数、5日に12月米ADP雇用統計、6日に12月米ISM非製造業景気指数、7日に12月米雇用統計が発表される。5日には12月14─15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も公表される。
過去には米国が利上げした後にドル/円が下落するケースもあった。FRB(米連邦準備理事会)は2015年12月15─16日のFOMCに利上げ開始を決定したが、ドル/円は122円付近から、16年6月に一時99円台を付けるまで下落した。
しかし、今回は違う反応になるかもしれないと、バークレイズ証券のチーフ為替ストラテジスト、門田真一郎氏は指摘する。「インフレが本当に今年後半に落ち着くかどうか不透明感が強い。物価が下がらなければ、利上げが開始された後もドルの先高観が続く可能性がある」という。
3日の米債市場では米10年債利回りが一時1.64%台に上昇し、約6週間ぶりの高水準を付けた。特段の材料はなかったが、オミクロン変異株など新型コロナウイルスへの警戒感は強まらず、株高・金利上昇とリスクオン地合いとなっている。
感染が急拡大しているオミクロン変異株が、景気への下押し要因となるのか、供給制約を通じてインフレ要因となるのか、ドルの今後を占ううえでも注目点となりそうだ。
(浜田寛子、伊賀大記 編集:久保信博)
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