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- 2025/08/20 掲載
焼肉屋倒産ラッシュでも…なぜ「焼肉きんぐ」は無双状態?牛角とは違う“人気の秘訣”
経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。
実は大手の焼肉店は店舗数が減少の一途を辿る
帝国データバンクによると、2024年度における焼肉店の倒産件数(負債1,000万円以上、法的整理)は55件で、前年の27件から倍増し、過去最多を更新した。円安や物価高により輸入牛肉の輸入価格が20年度比で1.8倍膨らむなど、原材料費や人件費の高騰が背景にあるという。コロナ禍では閉店したほかの飲食店からのシフトが進み、その換気能力が注目されて一時的に焼肉ブームが起きたが、厳しい状況となっている。大手チェーンも影響を受けた。2000年に創業し低価格路線を歩む「七輪焼肉安安」は22年7月に約180店舗のピークを迎えたが、その後は減少に転じ、現在は162店舗である。1963年に創業した古参の「安楽亭」は、20年3月期末の180店舗から25年3月期末の142店舗に減少した。
コロナ禍以前に600店舗以上を運営していた「牛角」については、100店舗以上閉店し、現在では493店舗だ。もっとも、牛角の最盛期は2004年の840店舗であり、安楽亭もかつては200店舗以上展開していた。安楽亭と牛角は2000年代初頭のBSE問題以降、苦戦し続けている。
このような状況で1人勝ちしているのが「焼肉きんぐ」だ。店舗数は20年6月期の241から25年6月期には351と100店舗以上増えた。運営元である物語コーポレーションの焼肉部門売上高(直営店)も、20年度の301億円から25年6月期には616億円と倍増した。
他社が苦戦する中でも成長する焼肉きんぐは何者なのか。その中身を見ていきたい。 【次ページ】焼肉きんぐが人気の秘訣「〇〇する必要がない」
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