• 2022/02/01 掲載

金融緩和「小出し印象与えた」=執行部内、加速に慎重論―西村日銀元副総裁・決定会合議事録

時事通信社

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日銀が2011年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公表した。当時の日銀副総裁、政策研究大学院大学の西村清彦特別教授は東日本大震災で日本経済が大きな打撃を受けた後、企業が急激な円高進行など「6重苦」に見舞われ、危機意識を抱いたという。ただ、日銀の執行部内では金融緩和加速に慎重論が強く、「結果として小出しの印象を与えてしまった」と振り返った。

―8月会合は、金融資産の買い入れ基金を積み増しする金融緩和を決定した。

当時は円高が激しく、財界から怨嗟(えんさ)の声も高まっていた。その他にも日本経済は電力不足や高い法人税率といった「6重苦」にあえいでいて、政治的にも経済的にも金融緩和に向けたモメンタム(勢い)が広がっていた。「このままではもたない」という危機意識が強かった。

―7月会合では金融緩和の議論がなく、8月会合の決定はやや唐突な印象を受ける。

私は以前から、内外の(市場での)期待形成に働き掛けるため、緩和を加速させるべきだと提案していたが、当時の執行部には慎重論が強かったのも事実だ。だが、8月会合では、政府・日銀が円高対策のため大規模な為替介入を行っており、金融政策も併せて緩和しないわけにいかなかった。確かに8月会合で、一転して緩和で一致したのは、不自然な印象を与えても仕方がないと思う。

―10月にも追加緩和を行ったが、円高には歯止めがかからなかった。

私としては大胆な緩和を行えば止まると思っていた。結果として小出しの印象を与えてしまった。市場との対話が不十分だったと思う。円高をめぐっては、「(中央銀行が自国通貨安を狙って)金融政策で関与するものではない」という意見も内外にあった。だが、その後の経緯を見ると、日銀が押し込まれる形で金融緩和をするパターンになったのは残念だった。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに応じる西村清彦日銀元副総裁=1月26日、東京都港区

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